「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/9月20日号)は『個人投資家サバイバル』という特集を組んでいる。
「超高速取引の導入や小数点以下の株価表示など、東京証券取引所が実施する新たな施策によって、個人投資家の投資スタイルの転換が迫られている。そこには、サバンナでシマウマの群れを狙うライオンのように、個人投資家を静かに狙う“猛獣”が潜んでいる。競争が激化する市場で個人投資家はどう生き残るか。まさにサバイバルの時代である」という特集だ。
米国統計での雇用環境の改善、米国株高や円安の影響で、東京株式市場では日経平均株価が続伸し、19日には上げ幅は一時300円に迫り、1万6300円台を回復している。1月8日に付けた年初来高値(1万6121円)を約8カ月ぶりに上回り、昨年末に付けた6年ぶりの高値1万6291円も抜いた。
今後は、10月に株価はいったん調整し、年末に向けてさらに上値を試すとの見方が多く、年末の高値については1万7000~1万8000円との声があるほどだ(19日付日本経済新聞電子版記事『株高値上回る・緊急アンケート(1)年末には1万8000円の見方、目先調整も』)。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株保有比率の引き上げといった資産構成の見直しによる買い支えも見込まれることから、今を買い相場と見て投資をしようと考える個人投資家もいるかもしれない。
しかし、不安要素が多いのが実情だ。国内でも第3四半期のGDP成長率、そしてその数字を受けて消費再増税を政府がどう判断するのか、大きく注目されている。
9月16日付のビジネス情報サイト「現代ビジネス」記事『本誌独占インタビュー ノーベル賞経済学者クルーグマン「日本経済は消費税10%で完全に終わります」』に見られるように、再増税に否定的な声も目立ち始めたからだ。
●機関投資家が優遇されている?
そして何よりも、個人投資家は機関投資家に比べて相対的に不利な環境に置かれているからだ。
「ダイヤモンド」の特集によれば、機関投資家の中でもHFT(ハイ・フリークエンシー・トレード/高頻度取引)業者は、「事前にプログラムを組むことで、1秒間に数千回の注文を繰り返して利ザヤを稼ぐ業者」であり、最速で100分の2~3秒かかる個人のインターネット経由の注文に比べて、HFT業者は100万分の15.7秒で注文が出せる。
「個人投資家が1回取引する間に、HFT業者はやろうと思えば、400~500回取引できる。人が新幹線にスピード競争を挑むようなもので、勝負はついている」(同特集より)ようなものなのだ。
さらに同特集によれば、東京湾沿岸部には東京証券取引所のデータセンターがあるが、東証はその隣接地を「コロケーションエリア」として、証券会社に貸し出しているのだという。