「合わない」2人
それにしても、なぜ清水はブログでこの件を蒸し返そうと思ったのだろうか。
「これは、サッカー界ではよくあることなんです。たとえば、2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会後に出版された『中澤佑二 不屈』(佐藤岳/文藝春秋)ですが、雑誌『Number』(同)の連載がベースなので、当初は連載同様に一人語り形式の予定でした。それが、中澤の意向で著書が親交のあるライターになった。この構成に読者たちは『選手の意見か、ライターの意見なのか、錯綜しすぎて混乱する』と戸惑いましたが、それが狙いでもあります。『不屈』は当時の監督である岡田武史氏への批判が書かれています。当時、ほとんどの選手が岡田監督を嫌っていたのはサッカー界関係者なら周知の事実。その選手の思いを代弁したのが、当時のマスコミの大バッシングであり、『不屈』でもあります。
選手のコメントとしては書けないことが第三者の言葉となって報じられるのは、日本サッカー界ではよくあることです。今回の清水の本田バッシングも、清水が親交のある中村から聞いた話を明かしたものだと思われます。結果として、本田と中村には確執があったことを清水が暴露してしまった格好になりました」
ちなみに本田批判を受けて清水のブログは炎上し、現在その書き込みは削除されている。
中村はスペインリーグにチャレンジした際に、ラテン系の選手たちから「あんなに暗い選手はみたことがない」「コミュニケーションをとらないから、何を考えているかわからない」と言われ、チームにフィットできなかった。また、06年に日本代表内で中田英寿バッシングが起きても、「ヒデさんは凄いよ」と先輩に敬意を表していたように、調子に乗ることはない。
一方の本田は、海外チームでも他のメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、激しく主張もすれば、日本的な年功序列は排除する。母校や関係者を大事にするなど礼儀正しい性格でも知られているが、ことサッカーにおいては譲らない。
中村と本田を知るサッカー界関係者たちは「2人の性格が合わないのは、みんな知っている。でも、あのフリーキックを境にエース交代になっていったこともあり、特に触れない。それが清水さんのブログがきっかけで、再燃してしまった」とボヤく。
清水のブログにより、サッカー界はとんだ迷惑を被ったようだ。
(文=TV Journal編集部)