菅田将暉という役者の歌手としての本気度…ブレイク前から米津玄師、あいみょんと知り合い
どうも、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。
さて、【前回】に引き続き、最近急増しているように見える“人気俳優が歌う”ということについて、芸能マネージャー的視点で分析していきたいと思います。
【前回】、“役者がミュージシャン活動をする際にはいくつかのパターンがある、というお話をしましたが、これまでよくあったパターンには当てはまらない新しいパターンだなと注目しているのが三浦春馬くん。
三浦くんがそもそも歌が上手いっていうのは、結構有名な話なんですよね。小池徹平くんと組んだブロードウェイ・ミュージカル『キンキーブーツ』(2016年、2019年)でも、ド派手なドラァグクイーンに扮し、キレッキレのダンスと表現力たっぷりの歌声を披露し、観客を驚かせていました。
三浦くんが2012年に出演した「タウンワーク」CMを覚えていますか? 「タウンワーク、タウンワーク、バイトが〜君に〜♪」と国歌斉唱のように高らかに歌い上げるCMです。あの曲はCMのために槇原敬之さんが書き下ろした曲なんですけど、槇原さんの曲だけあってキーがめちゃくちゃ高い。それを完璧に、しかも美声で歌いこなしてるんですからね。あれはインパクトがありました。三浦くんの歌が上手すぎて、CMを見て「口パクでプロが吹き替えしている」と勘違いした人が多かったくらい(笑)。
今回、三浦くんが歌っている「Fight for your heart」は主演ドラマ『TWO WEEKS』の主題歌で、どことなく東方神起やBTSを思わせる、K-POP感溢れる曲。ドラマ自体が人気韓国ドラマのリメイクなので、そちらに寄せていってるんでしょうね。それが三浦くんのハイトーンボイスにめちゃくちゃハマってて、“究極の企画モノ”という感じに仕上がってる(笑)。7月の『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)で生歌を披露した際には、「歌もダンスもレベル高すぎ!」などと、衝撃を受ける視聴者が多かったようです。
三浦くんは今回主題歌を歌うことについて、インタビューで「最近、若い人がドラマをリアルタイムで見るということから離れている印象を受けて(中略)ドラマにも関心を持つ人が増えたらいいなと思って、主題歌を歌わせて頂きました。自分が関わる作品をアドバタイジングできるのであれば、どんなエンタメでも、自分の能力を努力して伸ばして、つなげていけたらいいかな、と思ったんです」(「ORICON MUSIC」2019年8月7日)と語っていて、「ドラマが盛り上げるためなら、歌も歌いますよ」といったスタンス。
これは、【前回】お話しした“お膳立て”パターンに近いけど、“アーティスト・三浦春馬が歌手としてデビュー”とかではなく、完全に“ドラマのため”に歌っている。それこそ、ミュージカルやCMで歌うのと感覚的に近いのかなと思います。作品世界の中で、歌を披露しているまでというか…。ちょっと新しいパターンだなと感じましたね。
ちゃんとアーティストをやりたい菅田将暉
そして、“人気俳優が歌う”というくくりの中で、頭一つ抜けているな、と僕が感じているのが、菅田将暉くん。いやー、彼はすごいですよ! 久々に「ちゃんとアーティストをやろう」という俳優が出てきたな、という感じ。
彼は音楽が好きで、もともとピアノやギターを弾いたり、友達とバンド活動をはしていたみたいなんだけど、その活動が本格化してきたのは映画『何者』(2016年公開)でバンドマンの学生を演じてから。そのときにバンドメンバーとして出演していたファンクポップバンド「カラスは真っ白」のメンバーと仲良くなって曲作りをしたのがきっかけなんじゃないかな。
ちょうどその頃、auの「三太郎シリーズ」のCMで歌を歌ったり、映画『キセキ ーあの日のソビトー』(2017年公開)で、共演の成田凌くん、横浜流星くん、杉野遥亮くんたちと劇中で「グリーンボーイズ」というGreeeeNの前身となるグループを結成し、このグループでCDデビュー、『ミュージックステーション』にも出演を果たしました。それでなんとなく世間からも「へぇ、あの子結構歌えるんだな」というイメージが浸透し始めて、2017年3月に「au」のCMで使われていた『見たこともない景色』でソロデビュー。その後の活躍はみなさんもご存じの通りです。
超売れっ子俳優でめちゃくちゃ忙しいだろうにこんなにアーティスト活動にしっかり取り組んでいて、まるで福山雅治さんの若い頃みたいですよね。まあ、福山さんはもともとミュージシャン志望だった人が俳優としてデビューしたという形なので、ちょっと異なりますが……。