「(アニメ声優も)ぜひどんどんやっていきたいです」
―― 「演じる」ことも、絵を描いたり、写真を撮ったりすることも“表現”するということだと思いますが、演技するときと創作活動をしているときって、脳みその使うところは違う感じですか?
のん 違いますね。絵を描くとかだと、身体表現ではなくて、自分の感情を動かしたりとか、外に放出するイメージで。自分が受け皿ではないので、また違った感覚ですね。絵を描くときは結構何も考えなくていいというか、キャンバスだけに集中すればいいので、1対1みたいな感覚ですね。対紙、白い壁と1対1なので。
でも演技をするときは、たくさんの共演者の方と、(演じる)キャラクターと自分との関係性や監督やスタッフの皆さんと表現していきますよね。私はまだ映像しかやったことがないんですが、映像だと、対そのキャラクター、対画面の向こうだったりで、表現の方法が違いますよね。
でも現場に行ったときに、自由に発想するとか、感じたままに動くっていう手段は、リンクさせられる部分もあります。表現方法は違えど発想や感性の使い方がリンクすると気持ちいいし幅が広がりますよね。
―― やはりどっかでつながっているところもあるんですね。
のん そうですね。
―― 幼い頃から好きで絵を描かれていたと思うんですけど、自分で好きに描く絵と、お仕事で描いている絵っていうのは、ご自身の中で全部違うものですか? その延長線上にあるんでしょうか?
のん 自分のフィールドでというか、自分の本なので、私の中から出していく表現を見せるっていうコンセプトなので、普段描く時と全く違うっていうわけではないです。最近は依頼されたものを描くっていうが増えてきて、それは確かに違うかもしれないですね。よりビジネスライクな感じです。「こういうテーマで」というのがあると、また違った楽しみがあります。
―― 本の中で、素ののんさんという“素”という言葉がたくさん出てきていましたが、“素”というのは、ご自身の中でとても大切にされているんでしょうか?
のん あんまり大切にしていないというか、考えたことないです。意識はしないですね。桃井さんにも「貝殻から出てる」って言われたましたけど(笑)。
―― たぶんそういうのんさんのイメージを壊したくていろんな人がいろんなテーマで依頼っていうのをしていて。そういうのはやっぱり嫌だってここでおっしゃられていましたけども。
のん 苦手だって言っちゃってるんですよね、これ。恥ずかしながら(笑)。
――ドロドロしたものが苦手っておっしゃっていましたね。
のん ドロドロ系がなかなか出てこないんですよね、内側から。でも、できないって言いたくないんで、できますけどね!(笑)
―― なぜドロドロ系はやらないんですか?
のん 観る方が、私で観たいものではないかなっていう。それに1回きりで終わっちゃう気がして。1回きりの切り札ですから、大事にとっておいて、もっと年齢を重ねてからとか、本当にガラっと変えたいときに演じられれば……切り札を大事にしていきます!(笑)
―― すずさんももちろんですが、TVアニメ『鬼平』へのゲスト出演(おたか役)されたときも素晴らしかったです。声優さんとしてのお仕事も期待しているのですが、ご自身としてはいかがですか?
のん 私は(役者と声優を)分けて考えていないです。なので、役者として素敵なお仕事をやりたいなという感じで、作品に参加させていただいたり、刺激的なものがあれば、ぜひどんどんやっていきたいです。
(取材・文 編集部)
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