消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
ストーリー的には少々無理を感じるが、井伊家の記録に「政次は井伊家にとって奸臣であった」と記されている事実との整合性を持たせるためにそうなっているであろうことは想像に難くない。当時の真実を知るすべはないが、結果的に「政次=奸臣」の認識が井伊家に残ったことは動かしようのない事実である。本作では人知れず直虎を支える存在として政次を描いてきたが、直虎や南渓以外はその真意を知らずに「政次は裏切者」と誤解したままだったとすれば、井伊家の記録にそのような人物として描かれたことも納得できる。大河ドラマではしばしば定説を覆した新解釈が描かれるが、重要なのは着地点である。新たな解釈で話を広げておいて、最終的によく知られた定説にうまく収まるからこそ「なるほど」と思えるのであって、新解釈を広げた先が定説とまったくかけ離れていてはおもしろさが半減してしまう。脚本家にとってこのあたりのさじ加減は非常に難しいと思うが、「直虎」には大いに期待している。
ほとんどの視聴者は政次がいずれ退場することを知っており、いつどのような形でその日が描かれるのかを見たい気持ちと、高橋一生の退場をできる限り先延ばしにしてもらいたい気持ちとの両方を抱えて複雑な思いを抱いているのではないだろうか。同日、高橋が出演した『おしゃれイズム』(日本テレビ系)では、幅広い世代が「今年ブレイクした俳優」の筆頭に高橋の名を挙げていることが明かされた。そのきっかけとなったであろう『カルテット』(TBS系)を引き合いに出すまでもなく「いい人なのに報われない不憫な人」を演じさせたら天下一品の高橋が、密かに思いを寄せる女性のために命をかけようとする武士をどのように演じきってくれるのか楽しみでならない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)
Business news pick up
RANKING
17:30更新関連記事
2023.10.18 04:00
2021.12.07 05:10
2021.11.30 05:10
2021.11.29 05:20