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Snow Man、キンプリの「いじめ問題」を考える…V6や嵐はそれをいかに克服したか

文=田口るい
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Snow Manの目黒蓮(左端)が、同グループの向井康二(右から3番目)に“カンチョー”をしているシーンがバラエティ番組の予告動画に流れ、ファンの間で物議をかもした。単なるメンバー間の“ワチャワチャ”なのか? それとも「いじめ」となり得るのか?

 やる側にとってそれは「からかい」「いじり」のつもりでも、やられる側にとっては「いじめ」となり得る……。こうした“ズレ”は、いつの時代でも人間関係における重要なテーマのひとつだろう。ましてや子ども間の人間関係においてそれが生じた場合、深刻なメンタルの病、そして自殺といった“最悪の事態”までの距離の近さは、大人の比ではないだろう。

 そんなことを考えさせられる、判定の難しい「いじり行為」が今、ジャニーズグループ内において頻発し、ファンを巻き込んで物議をかもしているようだ。

Snow Manの目黒蓮が向井康二に“カンチョー”…2人は共に弁明・反省をブログに掲載

 例えば9人組グループのSnow Man

 5月3日放送のバラエティ番組『アイ・アム・冒険少年 2時間SP』(TBS系)の予告動画において、Snow Manの目黒蓮(24)が、同グループの向井康二(26)に“カンチョー”をしているシーンが流れた。これに対しSNSでは、「痔や脱腸の危険性がある」「子どもが真似するからやめてほしい」といった指摘がファンらしきアカウントなどによってなされた。

 批判の大きさを受けてか向井は、同21日にファンクラブ向け会員ブログを更新、以下のように“弁解”する。

「そんなメンバーと僕がじゃれ合ってることで 僕はなんも怪我とかしてないし それで、嫌な思いもしてへんよ」
「番組とかでちゃんとした流れがあってから メンバーはやってることだってあるし その場の雰囲気も良かったりしてるから 僕たちのじゃれあいが使われたりします」
「一部シーンだけみて 色々と膨らんでいくのが怖くて、、」

 一方、“やった側”である目黒のほうも同24日のブログで、以下のような“反省文”をアップする。

「色んな人が心配してくれてること ちゃんと考えて反省したから安心してね」
「笑わせたいと思ってしてた行動が間違えてたのを気付かせてもらった俺はまた最強に1歩近付けたぜ カンチョーで笑ってくれてた人もありがとう」

 あるいは、5人組グループのKing & Princeキンプリ)。

 5月28日にインスタグラムで投稿したストーリーズや、同30日に行われたインスタライブにおいて、永瀬廉(22)が岸優太(25)を叩くシーンがあり、こちらにもSNSなどでファンから批判の声が寄せられることとなった。これには、以前からキンプリファンの間では、岸に対する他メンバーからの過剰にも思えるいじりについて「ただのいじめではないか」といった声があったことが背景にあったようである。

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5人組グループのKing & Prince(キンプリ)。以前から岸優太(左から2番目)に対する他メンバーからの過剰にも思えるいじりがファンの間では問題視されている。とはいえ、岸はグループ最年長。いじられるのは愛されキャラゆえ?
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2021年11月1日をもって解散することを発表したV6のカミセン(Coming Century)の3人。今ではみな、すっかりいいオジサマです。

いきなりデビューした岡田准一を、三宅健や森田剛は快く思っていなかったのではないか

 こうした事態についてジャニーズに詳しいある芸能ライターは、「別に今に始まったことではない」と語る。どういうことなのか。

「例えばV6は1995年にデビューして以降しばらく、合宿所で共同生活を送っていました。当時は、最年少の岡田准一(デビュー当時14歳)を、森田剛(デビュー当時16歳)と三宅健(デビュー当時16歳)がよくいじっていたというのはファンの間では有名な話。岡田は芸能人が多く通う堀越高校に通っていましたが、長野博(デビュー当時23歳)が岡田の体を押さえつけて、森田と三宅がキスマークをつけたこともあるとか。岡田はキスマークをつけた状態で登校し、校内で問題になったといいます。

 今ではこうしたエピソードを“昔の笑い話”としてしばしば語るV6メンバーですが、当時の大人気バラエティ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』のオーディション企画で合格後、大阪から上京していきなりデビューをつかんだ岡田を、ジャニーズJr.時代から“剛健コンビ”で売れっ子だった森田や三宅が当初は快く思っていなかったことはよく知られています。特に“カミセン”内のイジリエピソードは、真偽不明のものも含めれば非常に多く、少なくとも当時の岡田にとっては、いじめとも感じられるつらい経験も多かったのではないでしょうか」

 V6の場合は、“トニセン”という年上メンバーがおり、特に井ノ原快彦(デビュー当時20歳)という“緩衝材”が存在したことや、その後脱退などもなく長く同じメンバーでの活動が続いたことで、本人たちも徐々に精神的に大人になり、そうしたシビアないじりはなくなっていったようだ(それでも岡田は、V6のライブMCでは相変わらず“いじられ役”ではあるが)。

 では、メンバー間の年齢差が少なく、しかもグループのカラーからして“ヤンチャ系”“オラオラ系”だったケースはどうなのだろうか?

「赤西仁や田中聖に殴られてアザになった」と語っていた田口淳之介の悲哀

「2008年2月に『週刊現代』(講談社)が、KAT-TUN(2001年結成、2006年デビュー)内でいじめがあると報じたことがありました。記事によれば、当時メンバーだった田口淳之介(デビュー当時20歳)があるファンに対し、『殴られてアザになった』と腕を見せてきたことがあり、田中聖(デビュー当時20歳)と赤西仁(デビュー当時21歳)にやられたと話していたということでした。この記事では、田口が赤西から『お前、(KAT-TUNに)いなくてもいいよ』『お前のトークは時間のムダ』などと、ファンの前で言われたというエピソードも掲載されていましたね。

 KAT-TUNの場合はメンバーの年齢差が2〜3歳差しかなく、また10代半ばでグループ結成後、ジャニーズJr.時代から大きな人気を獲得して非常に忙しかった。そうしたストレスや年齢的な若さが、グループの仲間に対する、ほとんどいじめといってもいいような行為を生んでしまった一因かもしれません。その後結局KAT-TUNからは、“ヤンチャ”の急先鋒だった赤西と田中、そして“いじられ役”だった田口が脱退していったことを考えると、どこか象徴的ですよね……」(前出・芸能ライター)

 ただし以前であればこうした行為は、追っかけ行為も辞さないコアなファンでもない限り外部の者は知らず、マスコミ報道でもなされない限り表出してくることはなかったのだという。しかし現在は、前述のSnow Manキンプリの例がまさにそうであるように、SNSの発達によってグループ内の人間関係が垣間見えるような動画が量産される時代だ。しかも、いったんファンによって問題視されれば、同じくSNSによって、そうした非難の声はまたたく間に拡散してしまう。いじり・いじめ行為は昔から存在するが、それが表面化しやすくなっているということだろう。

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ヤンチャ全盛期の6人時代のKAT-TUN。まさかこれが3人になるとは……。
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5人組グループのSexy Zone。現在、マリウス葉(左端)は体調不良のため芸能活動を休止中。松島聡(右端)は突発性パニック障害の療養のため活動を休止していたが、2020年8月に活動を再開した。

「松島聡やマリウス葉の活動休止は、菊池風磨の激しい“いじり”のせいだ」といった風説がファンの間に流布

 ネットの発達以外にも、若手ジャニーズグループにおいて“いじり問題”が発生しやすくなっている原因があるようだ。

SMAP以降、『男性アイドルもバラエティができて当たり前』の時代が到来したことはよく指摘されるところです。特にこの10年ほどは、大阪芸人の全国ネット番組への進出が進み、“ボケ・ツッコミ”を意識した軽妙なトークができないと、アイドルであっても生き残れない時代になっています。

 ましてやこの数年は、EXILEなどのLDH勢、BTSなどのK-POP勢、JO1などのその他国内勢も伸張して『ボーイズグループ戦国時代』の様相を呈しており、ジャニーズの一強時代はとうに終わりを迎えています。そうした状況下で、若手のジャニーズグループメンバーたちが少しでも“爪痕”を残そうと、テレビ出演や配信動画の収録の際についつい張り切りすぎてしまい、笑える“いじり”としてやったつもりが視聴者を引かせてしまう、というケースも増えているように思われます。

 特に、グループ内でも人気の高いメンバーがあまり目立たないメンバーをいじっていたりすると、ファンにとっては、そのいじりがリアルなものに感じられてしまう。2011年にデビューしたSexy Zone松島聡(デビュー当時13歳)、マリウス葉(デビュー当時11歳)がのちに活動休止に追い込まれるなどしたのも、『トークが達者で年上組でもあった菊池風磨(デビュー当時16歳)などからのいじり行為が行きすぎたせいだ』といった風説がファンの間で根強く語られていましたしね」(前出・芸能ライター)

メンバー間の衝突を“ワチャワチャ感”へと昇華できたグループだけが、「国民的アイドルグループ」の称号を手にする

 ジャニーズグループを長年ウォッチし続け、現在は思春期を迎えた2人の男児の母でもある中部地方在住のある女性はこう語る。

「昔は、ジャニーズグループ内の人間関係やそれに伴う軋轢もゴシップ的に楽しめていましたが、自分が子を持ち、息子たちの人間関係を間近に見るようになり、なかなかそうも言っていられなくなってきましたね(笑)。当たり前ですが10代の子どもはみな繊細で、カラダは大人並みになっても、相手のちょっとした言葉にすぐに怒ったり傷ついたりしてしまいます。うちの子もわりと優しいタイプで、子どもの友人関係を眺めていると、『もっと言い返しなさいよ!』とつい言いたくなってしまう場面も多い(笑)。

 ジャニーズグループを見ていて思うのは、『アイドルというのは、自分ではどうしようもない要素で、芸能人としての“出世”が影響されてしまう』ということ。一般人であれば、勉強や運動、オシャレや言動など、ある程度は本人の努力や気遣いでどうにかなる要素で自分のポジションが決まっていくのでしょうが、アイドルの場合は、生まれつきの“顔面偏差値”や事務所からの“押され度”など、本人にはなかなかいかんともしがたい要素でデビューが決まったり売れていったり……という世界ですよね。

 そういう、本人にはどうしようもない要素を意識させられながら、常に他人と自分とを比較せざるを得ない激しい競争社会を生きていることが、ジャニーズに限らず一般にアイドルグループ内で軋轢、いじめが生じやすい大きな要因のひとつとなっているのかもしれませんよね」

 思えば、SMAP、そしてTOKIOV6など、デビュー当初にはメンバー間の衝突がありつつも、その後大人になるに従ってそうした人間関係のアヤをうまく“ワチャワチャ感”へと昇華できたグループだけが、国民的アイドルへと成長し、脱退者をほとんど出さずに長く愛されるグループへと変貌していくのだ、ということもいえるのかもしれない。

 SixTONESSnow Man、そしてキンプリ……。メンバー間の軋轢をうまく克服し、次に国民的アイドルへと成長するのは、いったいどのグループなのであろうか?

(文=田口るい)

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