山口紗弥加主演の連続テレビドラマ『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)の第3話が本日(18日)、放送される。芸能界に潜む闇と、その餌食となってすべてを失った主人公・矢神亜梨沙(山口)の“復讐劇”が、深夜の放送枠ながらインターネット上でも話題を呼んでいる。
亜梨沙は、5年前まで女優・藤崎紗羅(松本まりか)として順調な芸能生活を送っていたが、身に覚えのない不倫スキャンダルにより、芸能界から追放されていた。婚約者・勅使河原純矢(安藤政信)にも見捨てられ、紗羅のスキャンダルでマスコミに追い詰められた母の雅美(クノ真季子)は焼身自殺。紗羅は心を病み、引きこもるようになってしまった。同ドラマは、そんな紗羅が整形手術を経て亜梨沙として生まれ変わり、不倫騒動を仕組んだ人々に復讐していくストーリーだ。
復讐の物語をベースに、第1話は「テレビプロデューサーと枕営業」の問題が描かれたが、第2話は「二世タレントと薬物」の問題が扱われた。亜梨沙は現在、紗羅として所属していた芸能事務所・フローライトでマネージャー業に就いており、ある日、自身の理解者である後輩女優・阿久津唯菜(松井玲奈)のドラマ撮影現場を訪れる。そこにいた棚城健二郎(波岡一喜)は、5年前に紗羅の不倫相手と報じられ、なぜか関係を認めた人物だ。
健二郎は不倫スキャンダルでフローライトを辞めさせられた後、父で俳優の棚城正則(山下真司)がつくった事務所に移籍し、芸能活動を再開している。健二郎に気に入られた唯菜は、亜梨沙も誘って、彼の馴染みの会員制バーへ。飲みながら、うまく5年前の不倫騒動の話を持ち出すと、健二郎は「あれは“やらせ”だよ。事務所に頼まれて」と、暴露。亜梨沙が怒りを抑えて耳を傾けるなか、やがて健二郎が薬物と吸引器具を取り出し……という内容だった。
亜梨沙役の山口、また回想シーンに登場する紗羅役の松本も、見事な演技力で緊迫感を漂わせており、テレビ画面に釘づけにされる視聴者も多いのではないだろうか。彼女たちが演出する復讐劇もさることながら、フィクションとはいえ“芸能界の裏側”を暴くような内容も、世間の興味を引きやすい。それに「二世タレントと薬物」なんて、実社会でもニュースになっているほどリアリティがある。
しかし第1話と比べると、第2話はネット上に「つまらなくなった」「物足りない」といった書き込みが散見された。これはおそらく、亜梨沙の復讐シーンのインパクトが弱かったからだろう。初回はテレビプロデューサー・五色沼仁(袴田吉彦)に、タレントに枕営業させていた事実をカメラの前で自白させ、それを配信したことで、視聴者としてもかなりスッキリできた。
だが、今回は亜梨沙が正則に記者会見を開かせ、息子の薬物使用を認めて謝罪させることで、健二郎が逮捕される……という展開で、親が先に事実を公表するのは異例だとしても、“薬物使用が発覚して逮捕”の流れに意外性はない。五色沼の時のように、健二郎にも公の前でもっと辱めを受けてほしかった。そうでなければ、薬物逮捕のタレントなんて、ある程度の謹慎期間を設ければ復帰できるのが芸能界だ。誰とは言わないけれど。
とにかく、私も第1話ほどスッキリできなかったし、正直2話目にして失速感が否めない。来週は「アイドルの妊娠」がテーマになるようだが、これはこれで、方向性によっては賛否が分かれそう。良い意味で盛り上がるといいのだが……。
(文=美神サチコ/コラムニスト)