食事にも、ただならぬこだわりを持っている。
「一時は栄養士さんをつけて、タンパク質を多めにして栄養を補うというようなかたちをとっていましたが、ファスティングなど、食べない時間をつくることも大切だとか、食べ過ぎることも体にとってマイナスのひとつになるという考えを知って、朝飯を抜いて、昼夜はきちんと食べるとか食事のとり方を変えたりもしました。食品自体も大切にして、体に何を入れるかをきちんと考えるようになりました。保存料なども気にして、ちゃんと農家の人がつくった野菜を宅配で取り寄せて食べるということも始めたんです。ジュースとかも、あまり飲まないです。水とお茶です。食事に関しては、選手によって、栄養士さんによっても言うことが違うし、こだわりもそれぞれ。いろんな人の話を聞き、自分に合ったものを取り入れようと思っています」
睡眠に関しても、こだわりを持っている。
「眠りが浅くて、すぐに起きてしまいます。だからといって日中眠くなるわけでもない。ショートスリーパーというわけでもないんですけど。寝ている時間がもったいないので、本物のショートスリーパーに生まれたかった。サッカーやっている以上、寝ないわけにはいかないですが、サッカーをやっていなかったら、たぶん寝ずに何かをしているタイプだろうなって思っています。ただし、疲労回復のための専用ウェアを使ったり、アイマスクもしています」
今後のビジョン
医療や健康に関して、さまざまな情報を持っているため、周囲からは「齋藤さんは健康オタク」と揶揄されることもある。当人にそのことを問うと、「健康オタクというより、サッカーのために生きているだけであって、サッカーを辞めたらこんなにこだわりません」と苦笑いする。「自分は今サッカーが好きで、サッカーを仕事として生きていく上で、後悔しないためにいろんなことをしているだけ」と話す。
今後のビジョンについては「正直、言い方は悪いかもしれませんが、“行き当たりばったり”です。逆に、今をおろそかにしたくない。今日一日を大切にしたいんです。これからワールドカップも行きたいし、日本代表としてピッチに立てていない悔しさもすごくあります。ただ、今やれること、自分が課題にしていることをやるのが大切」と述べる。
最後にフロンターレに移籍してよかったことを尋ねると、「サッカーがすごく楽しい」と思わず笑顔になった。
「止めて蹴るっていうことを大切にしているクラブで、来てよかったし、自分自身も勉強になることがたくさん。移籍して結果を残すという意味では苦しみも味わっていますが、この移籍は自分の人生を考えたときに、やっぱり人生のプラスになるだろうと思っています」
齋藤選手が再び輝きを取り戻し、日本代表のピッチに戻ってくる日を待ちたい。
(取材・文=名鹿祥史)