Love-tune問題から考える「アイドルとカネ」問題 ぶっちゃけいくらもらってる?
「タッキーは家を買ってもらった」の“都市伝説”
もちろんこういったプレゼントは、女性アイドルだけじゃなくて、男性アイドルにもよくあります。2018年をもって芸能界の表舞台から引退してしまったジャニーズ事務所のタッキーこと滝沢秀明くんなんか、「ファンの女性から家をプレゼントされた」なんて話も有名ですよね。彼に限らず、ジャニーズには熱狂的なファンが多いですからね。まあ都市伝説レベルのウワサだって巷ではいわれてますけど、ぼく的には、わりとリアルな話だと思うなあ。マンションとかクルマくらいだったら、ちょっと昔なら全然アリだった話だと思います。さすがに今はそういうことにキビシイ時代になってきたからそこまではないかもしれないけど、ほんと昔はいろいろありましたよ。
ジャニーズJr.は、“ブラック企業”なんて単語が浸透してきたこの数年でこそ、きちんと契約を交わしてギャラに関してもきちんと取り決めをするようになってきたみたいですけど、以前は、基本はほとんどタダ働きのような感じだったといいます。ギャラが出ても、1ステージ5000円とか1万円とかそんな感じ。事務所側からすれば、「こちら持ちで(ライブの現場で)レッスンをさせてあげているから」という感覚だし、Jr.のメンバーからしても、「ジャニーズJr.に所属している」ということ自体が強力なステータスだし、実際、そこで満足している部分も大きいと思う。若い子なんかは特にそうでしょうね。「ジャニーズJr.」というだけで、ものすごくモテるし、さっきのタッキーの話じゃないけど、いろんな人に豪華な食事をご馳走になったり、プレゼントをもらったり……なんてことはままあるでしょうし、そういうところで“元”を取っている部分はあると思います。
「お金を払いたい」と思わせる力
ジャニーズだけじゃなく、今だと2.5次元俳優へのプレゼント……というかファンからの“貢ぎ物”もかなりすごいみたいです。2.5次元俳優っていうのは、アニメやマンガ、ゲームなどが原作の舞台に出演している俳優のことで、有名どころだと鈴木拡樹くん、佐藤流司くん、黒羽麻璃央くん、松下優也くんなんかはテレビや映画にもよく出ているし、知っている人も多いんじゃないかな。
2.5次元俳優にはとにかく熱狂的なファンが多く、ライブなんかがあると、スタッフが用意した箱やカゴにものすごく大量のプレゼントが入ってる。もちろんブランド物もたくさん入ってる。
で、本来はダメなことなんだけど、グッチなんかのブランド物と一緒にLINEのIDが書かれた手紙が入っていたりして、タレントがファンに直接連絡を取って、もっといろいろな物を貢いでもらったり……なんてことも、非常によくある話なんです。男性タレントでも、女性タレントでも。
現代の感覚で、“コンプライアンス”なんていい出しちゃうとNGなことばかりだけど、でも本来、歌舞伎や相撲なんかが芸能の王道だった時代から、芸能ってそういうものだったと思うんですよね。タニマチと呼ばれるようなお金持ちのファンがいて、そういう人に対して「おカネを払いたい」と思わせるのが、本来の芸能が持っている力だし、それをビジネスにするか、個人的な関係でおカネや物品を享受するかの違いなのかもしれない。
そういう“魅力ある人”を見つけて、芸能界で活躍させるのが僕たち芸能事務所の仕事なんだけど、“ビジネス”としてやっていくためには、そこはやっぱり、きちんと契約を交わして管理していかないといけない。こういういい方をすると、いろんなNG事項を定めて“契約で縛る”みたいに聞こえるかもしれないけど、そうではなくて、その人に見合った対価をきちんと支払って、タレントを守り、育て、世に出していくよう努力するという、芸能事務所からの約束でもあるわけです。
おカネの問題はとてもデリケートだし、とにかくタレントとの信頼関係が大切な仕事なので、そのあたりをきちんと理解して信頼してもらえるように、ぼくら芸能マネージャーも日々心を砕いていますよ!
(構成=白井月子)