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フジテレビがクイーン相手に大失態?『ボヘミアン・ラプソディ』ラストシーン衝撃の事実

文=ミゾロギ・ダイスケ
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フジテレビがクイーン相手に大失態?『ボヘミアン・ラプソディ』ラストシーン衝撃の事実の画像4ブルーレイ版『伝説の証〜ロック・モントリオール1981&ライヴ・エイド1985〜』(販売:ユニバーサルミュージック)

スタジオで過剰に盛り上げた「ビートルズ再結成」の噂

 衛生中継による映像、音声のトラブルもあったが、そこは仕方のないところだろう。それ以外に、とにかく不評だったのが、進行が終始グダグダで、なぜかライブの模様が中断され、スタジオでのトークがえんえんと続く展開が目立ったことだ。

 また、いざカメラが現地に切り替わると、曲の途中で突然、CMが入った。クイーンの場合、「We Will Rock You」が、歌い始め早々にCMによってカットされている。
 
 番組中、現地の映像がなかなか放送されないことに対しては、“今セッティング中である”といった釈明が再三なされたが、これは虚偽だとみていいだろう。なぜなら、ロンドンが正午(夏時間)のとき、日本は20時である。ところが、番組スタートは人気番組『オレたちひょうきん族』終了後の21時から。つまり、少なくともロンドンからの中継はディレイ放送のはずである。

 それにもかかわらずグダグダだったのは、自社に主導権のない異例の長時間放送体制で現場が混乱していたから……というのが最大の理由なのだろう。

「世界のミュージシャンがひとつになることはいいことだ」「日本のミュージシャンも世界に出ていくべきだ」「長時間生放送は大変だ」といったありがちな方向以外に、スタジオトークの話題の中心になっていたネタがある。「ビートルズが再結成する」という未確定情報がそれだ。特に南こうせつは、この話題を引っ張った。

 その日、テレビ中継はグダグダであっても、ライヴ・エイドの規模、出演メンバーの豪華さ、現場の盛り上がり感は、視聴者に“ビートルズの再結成があってもおかしくない”と感じさせるに十分だった。ジョン・レノンはすでに他界していたが、“代わりに息子のジュリアン・レノンが参加する”という付加情報が、むしろ噂に妙な信憑性を持たせていた。

 しかし、ポール・マッカートニーはロンドン会場のトリとして出演はしたものの、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ジュリアン・レノンがそこに合流することはなかった。
 

世界にパフォーマンスが放送された日本のアーティストは?

 前述のように、全世界対象のテレビプログラムには各国からのライブ中継が差し込まれ、それには日本からの中継も含まれていた。といっても、観客を集めてのコンサート形式ではなく、フジテレビのスタジオでの演奏映像を放送するという形態がとられた。

 世界にそのパフォーマンスがオンエアされたのは、次の4組。矢沢永吉、オフコース、佐野元春、ラウドネス。その頃のネームバリューや影響力、音楽ジャンルのバランス的にも、絶妙な人選だったのではないだろうか。

 なお1985年は、YMOは散開(解散)後で、BOØWY、TM NETWORKはブレイク前、B’z、X JAPAN、Mr.Children、DREAMS COME TRUEはデビュー前。宇多田ヒカルはまだ2歳だった。松任谷由実、中島みゆきは出演せず、サザンオールスターズは桑田佳祐がラジオのほうに出ていた。

 また、めったにテレビ出演しない、ステージで並び立つこともまずない、矢沢永吉と小田和正のツーショットなど、普段はありえない場面も見られた。そうしたことも相まって、「すごいことが起きている」「日本のミュージシャンもライヴ・エイドに参加している」という高揚感が生まれていたのは確かだった。

現地の映像を流さず!ガラパゴスな展開が続く

 日本のミュージシャンの番組出演はそれだけではなかった。国内限定のコンテンツとして、上記4組以外に、チェッカーズ、チャゲ&飛鳥(当時)、杏里、さだまさし、安全地帯、イルカ、谷村新司、長渕剛、HOUND DOG、ラッツ&スター、杉山清貴&オメガトライブ、中原めいこ、忌野清志郎らが次々に登場し、それぞれの曲を披露したり、スタジオトークに参加したりしたのだ。

 当然その時間には、ロンドン、フィラデルフィアの映像は流れず。このことは、特に洋楽ファンをガッカリさせた。ただし、のちに番組プロデューサーがこの件に関し、“視聴者の注目を集め、より多くの募金を集めるための手段として、ライヴ・エイド事務局から要請されたことだった”といった旨の発言をしている。

 残念だったのは、こうしたミュージシャンの多くが、アフリカで起きていることに関しては積極的な発言をせず、なかにはチャリティにまったく無関心な様子がバレバレな者もいたことだ。やはり多くの日本人にとって、エチオピアの飢饉は対岸の火事だったのかもしれない。

 最後に、ビートルズの再結成が実現しないことが明確になった番組終盤、日本のスタジオで新たに盛り上がったネタがあったことをここに指摘しておきたい。

「ライヴ・エイド・インJAPANの開催を!」

 しかし、ご存じのように、そうしたイベントは今に至るまで行われていない。
(文=ミゾロギ・ダイスケ)

フジテレビがクイーン相手に大失態?『ボヘミアン・ラプソディ』ラストシーン衝撃の事実の画像5
●ミゾロギ・ダイスケ
ライター・編集者・昭和文化研究家/映画・アイドルなど芸能全般、スポーツ、時事ネタ、事件などを守備範囲とする。今日の事象から、過去の関連した事象を遡り分析することが多い。著書に『未解決事件の昭和史』(双葉社)など。

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