NHK党の立花孝志党首が20日、テレビ朝日系のニュース番組『報道ステーション』に出演した際に大越健介キャスターから発言を遮られて精神的苦痛を被ったとして、テレビ朝日と大越キャスターに計10万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。同日に行われた会見の様子が公式YouTubeチャンネルにアップされ、賛否を呼んでいる。
問題となったのは、16日に放送された『報道ステーション』の参院選党首討論。立花党首は事前にTwitterで「綾野剛の淫行について言及する予定です」と、同党が擁立する暴露系YouTuberの「ガーシー」こと東谷義和が暴露した綾野の疑惑に生放送で触れると宣言していた。
討論は「安全保障」をテーマに進んでいたが、別室からリモートで登場した立花党首が「テレビは核兵器に勝る武器です。テレビは国民を洗脳する装置です。テレビは国民が知るべき真実を隠しています」などと訴えると、司会の大越キャスターが「今の発言は討論のテーマに沿ったものとは認められません」と遮り、最終的に立花党首が“強制退場”させられる事態になった。
会見では、立花党首が今回の一件について、テレビ朝日や大越キャスターによる表現の自由の侵害であると主張した。
事前にテレビ朝日側から「上記のテーマから逸脱した発言は控えていただくようお願いします。万が一、そのような発言があった場合はしかるべき対応をさせていただく場合もあることをご承知おきください」との文書が送られ、立花党首が電話で「テレビ朝日さんが用意したテーマ以外のことをしゃべったら(スタジオから)追い出すってことですか?」と確認すると、番組スタッフは否定しなかったという。
立花党首はこの文書について「恐怖を感じた」とし、スタジオから退室した際も「とてもじゃないが冷静に話をできる雰囲気じゃなかった」と振り返っている。
「即訴訟」でテレビ局にプレッシャー
21日には、自身のTwitterで「YouTubeでは、綾野剛の淫行事件はガンガン放送されているのに。テレビでは、綾野剛に触れようとするだけで、国政政党の党首が番組から排除されて、放送出来ない!」と改めて不満をぶちまけた。
さらに「この国の安全保障を語る上で、テレビの存在を語るのは当然!テレビは核兵器に勝る武器!テレビは国民を洗脳する装置!」とも綴り、22日の参院選公示日にYouTubeで綾野にかかわる何らかの「巨大爆弾」を投下すると予告している。
立花党首の「訴訟効果」は大きく、発言を遮ると司会者も含めて訴えられるとなると各局はあまり強硬的な対応をとれなくなるだろう。
また、立花党首は「政見放送でガーシーが有名人たちの暴露ネタを投下する」と予告している。政見放送は原則的に局側の都合で編集することはできないが、個人の名誉にかかわることなどは、公職選挙法第150条の2(政見放送における品位の保持)を根拠に音声削除などの編集がなされる可能性がある。
しかし、これも局側が編集しようものなら立花党首は黙っていないだろう。是非は別にして、今回の訴訟によって局側にプレッシャーがかかったのは間違いない。
こうした暴れっぷりについては「やりすぎ」「無茶苦茶すぎる」といった批判がある一方、「良くも悪くもテレビ局の隠蔽体質を表している」「テレビ報道の問題点をあぶり出すという意味では価値ある」といった意見もあり、賛否両論となっている。
「NHKをぶっ壊す!」でおなじみの立花党首が壊そうとしているのは、テレビ業界全体なのかもしれない。