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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

相次ぐ凶悪犯罪、加工食品の常食による必須ミネラル不足が影響か…亜鉛の血中濃度と暴力性

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 もう随分と前の話になりますが、14歳を迎えた少年による凶悪犯罪が続いたことがありました。その時に上智大学名誉教授の福島章医師は調査し、凶悪犯罪を行った少年の脳に、顕著に高い確率で萎縮や欠損などの異変が起きていることを発見しました。特に、感情との関連が深いとされる前頭葉に異常があるケースが多いと、著書『子どもの脳が危ない』(PHP新書)の中で述べていました。そして、その原因が「環境ホルモン」と呼ばれる物質ではないかと疑っていたのです。

 当時、筆者は福島氏の見解に深く賛同しつつも、食べものもその原因のひとつに違いないとの意見を持っておりました。さらに言うと、食べものの中に含まれている化学物質が、その原因のひとつだと睨んでいました。

 普段、私たちは食べものからさまざまな栄養素を摂取します。その栄養素を使って生命活動を行っています。必ず摂取しなければならない栄養素には、16種類のミネラルも含まれています。前述の亜鉛も銅も含まれています。銅は摂り込まれた後、体の中で造血作用などにかかわっていますし、数多くの酵素をつくり出すためにも必要です。また、活性酸素を除去する働きもするし、骨の形成にも関与しているのです。

 このように、銅は体にとって必要なミネラルなのですが、亜鉛との拮抗関係が崩れて、銅の値だけが高くなってしまうと、人間を暴力的にしてしまう。それを是正し、常に良いバランスを保つためには、私たちは正しい食生活を続けるしかないのです。

必須ミネラルをバランスよく摂取する重要さ

 筆者は以前から、食品添加物がもたらす脳への影響についても述べてきました。これに関しては、イギリスでのデータがその重要性を物語っていますが、それはADHD(注意欠陥・多動性障害)などの障害を持つ子供たちに対して、特定の食品添加物を排除した食事を食べてもらうと、その症状が緩和していくということがあるからです。これについても、日本の公的機関できちんとした調査をしてほしいものですが、おそらく、しばらくの間は、食品企業からの圧力があって、正しい調査が行われることはないでしょう。

 繰り返される凶悪犯罪が起こるたびに、「もう二度とこのようなことが起こらないように」「この事件で亡くなった方の生命を無駄にしないように」というコメントがあちこちで聞かれますが、そんなことを言っているだけでは、また同様の事件、犯罪が繰り返されるであろうことは、論を俟たないと思います。

 では、私たちに何ができるのでしょうか。私たちは、自分たちの食卓から工業製品的加工食品と、同時に食品添加物を排除し、できるだけ自然に近い、必須ミネラルをたっぷりとバランス良く含んだ食品を摂ること以外にはないと思います。それ以外に解決策はないということに、一日も早く、一人でも多くの方に気づいてほしいと思います。

 正しい食事のあり方に気づき、目覚め、それを実践する人が多くなれば、必然的に工業製品的加工食品の需要はなくなっていきます。そうなれば、食品企業は何をつくれば売れるのかを考えるようになります。先の長い話だと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。今は、さまざまな手段を使うことで、情報があっという間に行き渡る時代です。そして、ほとんどの人たちが、自分たちが食べている食べ物に、疑問を抱いている時代でもあるのです。

 何かがきっかけとなって、食生活を180度変える人を何人も見てきました。もちろん、まだまだ少数派ではありますが、こういったことは、あるパーセンテージを超えると、一気に加速度がつき浸透していくものです。筆者は、その日が近いことを予感しています。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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