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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

原宿・表参道スイーツ戦争!話題6店を訪問&完全レポート!アイス、ペイストリー…

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役
原宿・表参道スイーツ戦争!話題6店を訪問&完全レポート!アイス、ペイストリー…の画像1カフェ・カイラ表参道店「カイラ・オリジナル・パンケーキ」

 夏休みシーズンに入り、たくさんの若者たちで活気に溢れている東京の原宿と表参道。猛暑のなか、彼らの手にはさまざまなスイーツが握られている。なかには、海外から進出して「日本初上陸」と銘打つ店舗のものも数多くあるが、なぜ日本進出の第一歩に原宿や表参道を選ぶのだろうか。そして、客はなぜ猛暑のなかで何時間も並んでまで食べたくなるのか。

 今回は多数あるスイーツ店の中で、いくつか有名な店舗に実際に並んで食べてみた結果を踏まえ、あくまで筆者の独断と偏見に基づき解説してみる。そこから、店舗側と顧客側の心理を分析し、「ヒットの正体」を探ってみたい。

(1)ドミニクアンセルベーカリー(DOMINIQUE ANSEL BEKERY)

 ペイストリーとは小さなケーキやタルトなどのことで、パイ、タルト、キッシュなどとも呼ばれる「ニュージェネレーション・スイーツ」。米ニューヨークの人々が朝から行列するほど大人気のペイストリーショップで、今年6月20日、表参道に日本1号店をオープン。全米No.1レストランガイド『ZAGAT』2013年度ペイストリー部門の最高得点を獲得し、14年7月には世界最大手のキュレーションサイトで「死ぬまでに行きたいベーカリー25」にも選ばれている。シェフのドミニク・アンセルは、超有名老舗ペイストリー「フォション」やニューヨークのミシュラン3つ星レストラン「ダニエル」でエグゼクティブペイストリーシェフを務め、09年には「全米トップ・ペイストリー・シェフ10人」にも選出された世界でも超有名なパティシエだ。ちなみにクロワッサンとドーナツを融合させたハイブリッドスイーツ「クロナッツ」は、アンセルが考案した。ニューヨークで「もっとも優れた発明品25」にも選出されている。

 さて、表参道店の1階ではニューヨーク店でも一番人気で6~8週間ごとに新たなメニューが登場し、期間限定の斬新なアイデア満載のクロナッツなどを扱い、2階のカフェ・レストランは、2階でしか味わえないスイーツをゆったりと楽しめるようになっている。まず、1階のテイクアウトコーナーで売られている商品を紹介してみよう。

・クロナッツ

 7月の一日数量限定クロナッツは、「パイナップルジャムすだちシトラスガナッシュwith沖縄スモークソルト」だ。甘さと酸っぱさのバランスが絶妙に取れており、食べると中から油がじゅわっと出てきて、かなり濃い目の欧米系のワイルドな深い味わいである。

・The DKA

「ドミニクのクイニーアマン」の頭文字。仏ブルターニュ地方の伝統菓子をベースにしたオリジナルスイーツ。キャラメル味で表面がカリッとして、ふわふわ生地が折り重なって優しい甘さのクイニーアマン。大粒の天日塩が甘さを引き立たせている。

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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