ストーカー事件など女性の一人暮らしを狙った犯罪は後を絶たないどころか、認知件数は確実に増えています。今回は不動産の専門家としての視点や経験から女性の一人暮らしの防犯対策について考えてみたいと思います。
女性の一人暮らしは要注意!
以前、ご自宅を購入した一人暮らしの女性のお客様から、引っ越しの挨拶をどうすればよいかという相談がありました。確かに女性の一人暮らしの場合、近隣への挨拶は意外と問題になるようです。
隣近所へ挨拶をすれば、女性が越してきたことがわかってしまいます。特にワンルームなど、一人暮らしだとわかるような場合、危険を招く可能性もあります。一方、近隣への挨拶をしないことが原因で近隣住民との関係が築けず、嫌がらせを受けるようなこともあり得ます。こう考えると本当に悩ましい限りです。
一人暮らしの女性が最も気になる点は、隣の住人が男性の一人暮らしか否かということになるかもしれません。
筆者の知人が経営する不動産会社が管理しているワンルームアパートで、1階に住むある独身男性が原因で、周りの部屋に住む独身女性が3人退去したことがありました。
この男性の隣に住んでいた女性は、防犯に対する意識が高く、カーテンを閉めていたにもかかわらず何度も窓越しに覗かれる被害に遭い退去。反対隣に住んでいた女性も、隣の人物の犯行というはっきりした証拠はないものの、干していた下着を盗まれた。また、スイッチを入れると外を見ることができるタイプのインターホンだったため、男性はそのインターホンで隣室の女性の外出・帰宅の様子を確認していたようで、それを気味悪がって退去した。この2人の女性は退去にあたり、「あの部屋の人が原因」と男性を指摘していたそうです。
もう1人は、原因となった人物を指定したわけではなかったものの、最終電車などで遅くに帰宅した際、特徴のある服装の男性に何度かアパートまで後をつけられたことが遠因となって退去しました。後日、管理している不動産会社の担当者がその問題といわれていた男性居住者と会う機会があり、その時の男性の服装が女性の説明していた服装と酷似していたといいます。
そのアパートは当初、住人の半分は女性だったのですが、その後すべて独身男性になったようです。
この例では、結果的に住人女性たちが退去したため、大きな犯罪には至らなかったのですが、特にワンルームなどのマンションやアパートでは、やはり女性が1人で住んでいるという情報を近所に知られたくないというのが実情だと思います。