ビジネスジャーナル > ライフニュース > 塩分制限で病気増の危険も  > 3ページ目
NEW
石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

塩分制限で病気増の危険も…十分な摂取がかえって健康的?制限要は高血圧の人のみ?

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長

単純に「健康には減塩」は、科学的ではない

 さらにダメ押しともいうべき研究結果が、今年の「The Lancet」というイギリスの一流医学誌に発表されました。この研究では、高血圧のある患者さんとない人とに最初から分類して、心血管疾患のリスクと尿中ナトリウム排泄量との関連を、再度多数例で検証しています。

 その結果によると、高血圧の患者さんでは、塩分の摂取が増えるとともに血圧は上昇していて、食塩の摂取量で10~15グラムくらいを超えると、動脈硬化の病気のリスクは増加します。しかし、10グラムより少ないとその傾向ははっきりしなくなり、7.5グラムくらいより塩分を制限すると、かえって病気は増えてしまいます。

 そして、正常の血圧の人だけで解析すると、塩分は15グラムを超えても動脈硬化の病気は増えず、7.5グラムより制限すると、明らかに病気は増加していました。

 つまり、塩分を制限することが健康に良いのは、高血圧などの病気を持っている人だけで、そうでない人にとっては塩分は充分に取ることがむしろ健康的だということが明らかになったのです。

 ただ、注意していただきたいことは、高血圧以外にも腎臓病や心臓病では塩分が害になるということで、単純に病気の自覚がなければいくらでもたくさん塩分を取って良い、ということにはならないのです。

 従って、血圧の高い方では1日の塩分は10グラムは超えないようにし、血圧が正常であれば、15グラムくらいまでは問題ない、むしろ少ないほうが体に悪い、というくらいに考えていただくのが良いと思います。

「健康には減塩」という考え方は、すべてが間違いということではないのですが、あまり科学的ではない考え方になっているようです。
(文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長)

【参考文献】
1.O’Donnell MJ, Yusuf S, Mente A, et al. Urinary sodium and potassium excretion and risk of cardiovascular events. JAMA. 2011; 306: 2229-38.
2.O’Donnell M, Mente A, Rangarajan S, et al. PURE Investigators. Urinary sodium and potassium excretion, mortality, and cardiovascular events. N Engl J Med. 2014; 371: 612-23.
3.Mente A, O’Donnell M, Rangarajan S, et al. Associations of urinary sodium excretion with cardiovascular events in individuals with and without hypertention: a pooled analysis of data from four studies. Lancet. 2016 May 20. Pii: S0140-6736(16)30467-6.

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

塩分制限で病気増の危険も…十分な摂取がかえって健康的?制限要は高血圧の人のみ?のページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!