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栄養豊富な枝豆は大豆のいいとこ取り食品
豆臭さは、大豆に含まれる多価不飽和脂肪酸と、その分解酵素が原因です。大豆が畑で育っている間、分解酵素は細胞のなかで袋に収納されて保管されています。大豆を煮ることによって、この袋が破れ、分解酵素が細胞のなかに拡散して多価不飽和脂肪酸の分解を始めます。
多価不飽和脂肪酸は大量の炭素原子がネックレスのようにつながった構造をしていますが、これが小さく分解されると、その断片はいろいろなにおいを発するようになり、それらが混じり合って豆臭さになります。一方で、大豆には甘み成分の糖やアミノ酸、アスコルビン酸が含まれていますが、これらは大豆が成熟するにつれて減少していきます。
そのため、ぐつぐつ煮立った釜で多価不飽和脂肪酸が分解される前に一気にゆで上げる枝豆は、栄養豊富で甘く、においも少ない状態で大豆を食べることができる調理方法で、大豆のいいとこ取りをした食品といえます。
ちなみに、ここまで「枝豆のことを大豆」と紹介してきましたが、日本の枝豆は大豆として食用にされるものとは別の枝豆専用品種で、成熟度合いとしては8割程度、たんぱく質含量15%、油含量10%程度です。冷蔵保存すると、保存温度にもよりますが、一般的にビタミンCや糖分、アミノ酸が急速に減少して味が落ちるため、一度に食べる分だけをゆでるか冷凍品を解凍することをおすすめします。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ 主席部員)
【参考資料】
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』(技術評論社/中西貴之)
『食品機能性の科学』(産業技術サービスセンター)
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