11月9日、東京地方で「木枯らし1号」が吹いたと発表された。
木枯らし1号は、冬の到来を感じさせる風物詩として定着している感があるが、認知され始めたのは1968年ごろといわれている。つまり、50年弱の歴史があるのだ。
木枯らし1号と認められる条件は、「10月半ばから11月末にかけて、西高東低の冬型の気圧配置になった時に吹く風速8m毎秒以上の北より(北から西北西)の風」である。太平洋側特有の現象であり、東京地方と近畿地方だけでしか発表されない。
そこで、気象庁・天気相談所に、木枯らし1号について話を聞いた。
–木枯らし1号を観測し始めたのはいつですか?
気象庁 現在の基準で観測・発表を始めたのは1991年です。68年ごろから日本気象協会発行の「気象」のなかで似たような名称で観測はされていましたが、条件は現在とは違っていました。
–そもそも、なぜ木枯らし1号を観測・発表しているのでしょうか?
気象庁 単なる季節のお知らせと受け止めていただいて結構です。本来の気象庁の業務としては防災が主目的なので、少し趣旨が違うかもしれませんが、気象に関するものとして発表しています。春一番についても同様です。
–なぜ東京地方と近畿地方だけなのでしょうか?
気象庁 古くから続く慣習のようなもので、特に東京と近畿地方において強い要望があるため発表している次第です。
–木枯らし2号、3号というものはあるのでしょうか?
気象庁 ありません。あくまで、一定の条件を満たす最初の風を「1号」と呼んでいるだけであって、2号以降はありません。
–木枯らし1号が発表された場合に、注意すべき点などはありますか?
気象庁 木枯らし1号は、あくまで事後に発表されるもので、注意を促すものではありません。ただ、強い風が吹きますので、注意が必要な情報については「注意報」や「警報」など別途発表があります。
–ありがとうございました。
ウェザーニューズにも木枯らし1号に関して質問してみたところ、あくまで気象庁の発表に基づく情報を発信するので、定義については気象庁と異なるところはないとしている。
しかし、ウェザーニューズは、生活者目線での情報発信を意識しているという。具体的には、各地域、各個人が感じる「木枯らし1号」をホームページ上で調査・公表しているのだ。
「たとえば、閾値(基準値)を超えたのが夜中の場合、翌朝に『木枯らし1号が吹いた』と公表されることがあります。そうすると、木枯らし1号が吹いたという実感を得られない人が多くなる可能性があります。実際に今日も発表は10時頃でしたが、閾値を超えたのは明け方でした。そのため、ホームページ上で『木枯らし1号が吹いたと感じたかどうか』を調査し、“みんなにとっての木枯らし1号”を公開しております」(ウェザーニューズ・広報担当)
昨年は10月24日に観測されているため比べると16日遅いが、平均は11月7日ということで今年はほぼ平年並みだ。これから本格的に冬が訪れる。押入れの奥から暖房器具や防寒着を出して、寒さへの備えをしておこう。
(文=編集部)