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「市販の咳止め薬のなかには、麻薬性中枢性鎮咳成分の『コデイン』が配合されているものがあります。コデインの一部は肝臓でモルヒネに変換されるため、大量に摂取することで、幻覚や妄想などの副作用が表れます。しかし、当然のことながら、そのような目的で飲むのは非常に危険。大量のコデインを代謝するため腎臓に重い負担をかけてしまうほか、長期の服用によって精神的・身体的な薬物依存が起こります。コデインが切れた依存者は、抑うつ状態や下痢などの著しい離脱症状に苦しむことになります」(同)
「下剤ダイエット」で大腸が壊死した例も
一方、女性によく見られるのが、便秘薬、いわゆる下剤をダイエットに用いる「下剤ダイエット」を行うケースだ。
「下剤ダイエットは、『食べたものを吸収せずに体外へ排出してしまえば、食べたことにならない』という安直な考えによるものでしょう。もちろん、これも危険な飲み方です。下剤を乱用することで腸が刺激に慣れてしまうと、腸は本来の柔軟な動きを失ってしまいます。その結果、自然排便が困難になり、下剤に頼らないと排便できない体になってしまうのです。こうなると、もはや医師の治療が必要な状態といえます」(同)
便秘薬は成分や効用によっていくつか種類があるが、そのうちのひとつに、腹痛が起こりにくく、子どもやお年寄りが服用しても安全とされる酸化マグネシウム性の便秘薬がある。しかし、それも飲み方を間違えば大きなリスクを伴うという。
「体に優しい便秘薬として、最近CMなどで話題になっている酸化マグネシウム系の薬ですが、これも摂り過ぎると高マグネシウム血症を起こしてしまうことがあります。実際、酸化マグネシウム系便秘薬を大量に服用した30代の女性がショック症状を起こして、呼吸停止や低体温になり病院に搬送され、ショックが持続して大腸が壊死してしまったケースも報告されています」(同)
そもそも、薬が実用化されるには、まず動物実験が行われ、次に人間の体を使った臨床試験というプロセスを経る。そこで成分の有効性や安全性を確認し、厚生労働省の厳しい審査をクリアした薬だけが市販薬として店頭に並ぶことができるのだ。
薬の用法や用量は、この成分の有効性と安全性を両立させるため、慎重に設定されたものだ。それを無視して間違った飲み方をすれば、副作用のリスクが高くなるのも当たり前である。
『その薬があなたを殺す! 薬剤師が教える“知らないと毒になる”薬の話』 風邪薬、頭痛薬、湿布などの薬ですが、使い方ひとつで、効果が減るどころか、死にいたる可能性すらあります。しかも、薬の副作用の報告例で最も多いのは、「風邪薬」(総合感冒薬)なのです。「クスリ」とは、ある意味リスク。薬剤師だからこそ知っている身近な薬の危険な使い方・効果のある使い方を紹介します。
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