暑くなり薄着になるにしたがって、にわかに自分のボディラインが気になり出すもの。そこで「丸くなったカラダをなんとかしなければ」とダイエットを試みるが、なかなか痩せられない――。
そんな人は、もしかすると仕事や私生活でストレスが溜まってはいるのではないだろうか。
以前から「ストレス太り」「イライラ食い」などとはよく言われているが、ネガティブな気持ちを抱えた生活を送っていると、本当に肥満のリスクがアップすることが、最新の研究で明らかになった。
ストレスホルモンと肥満の関係が明らかに
この報告は英ロンドン大学のAndrew Steptoe氏らの研究グループによるもので、その論文は専門誌『Obesity』(2月23日付)に掲載された。
研究グループがターゲットにしたのは、ストレスホルモンの一種である「コルチゾール」。コルチゾールは副腎皮質で作られる基本的なホルモンで、危険を感じたときに「闘争」もしくは「逃走」の反応を引き起こすものだ。
つまりコルチゾールは、ヒトがストレスから自分を守るための重要なホルモンだが、持続的にストレスを感じると分泌が過剰になっていく。そして慢性的に高レベルになると、抑うつや体重増加などにつながるとされている。
今回、Steptoe氏らは、54歳以上の英国成人2500人超を対象に、最も頭皮に近い部分の毛髪を2cm採取し、コルチゾール値を調べた。この数値は、過去2カ月間に蓄積されたコルチゾールの量を反映しているという。
そして、データを解析した結果、コルチゾール値は脂肪の増加や肥満と相関関係があることが明らかになった。コルチゾール値が高い対象者は体重が重く、胴囲も大きい傾向があり(男性102cm以上・女性88cm以上)、BMI(ボディマス指数)も高く、体脂肪量も多くなった。
またコルチゾール値の高さは、過去4年以上の継続的な肥満度の高さとも関連していたという。
このコルチゾール値と肥満との関連性は男女ともに見られ、年齢による差もなかった。ただし、今回の対象者は比較的高齢であったため、もっと若い人では同じ結果にならない可能性もあると、研究者は付け加えている。