咽頭痛の患者に対するステロイド処方は適切か?
経口ステロイドはウイルス感染には効かないし、副作用もある。しかし、咽頭や扁桃腺が腫れると自然治癒しにくいため、経口ステロイドを処方するケースが少なくない。
経口ステロイドは、抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用などの効用がある。一方、大量に投与すれば、免疫不全によって感染しやすくなるほか、高血糖、筋力低下、白内障、緑内障、脂質代謝異常をはじめ、小児の発育障害、骨粗鬆症、消化性潰瘍、高血圧、動脈硬化などを招くリスクが高まる。
今回の発表のようなステロイド処方の有効性を示唆する研究の動向を懸念する見解もある。
たとえば、米国の民間保険に加入する患者の約20%が経口ステロイドを短期投与されているが、経口ステロイドの短期投与によって主要な有害事象が約2~5倍に高まるとする論文がある(Waljee AK, et al. BMJ. 2017;357/ケアネット2017年4月24日)。
Centor氏は、こう総括する――。
「咽頭痛は、対症療法が原則。3~5日で改善し、悪化することは少ない。痛みがひどい場合は、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの鎮痛薬を処方するのが賢明だ。
高熱で咳がなく、食べ物が飲み込みにくい時は、細菌感染の可能性が高いので、早めに内科を受診し、特に喉の痛みが強い場合は、耳鼻咽喉科を受診しなければならない。
薬局やドラッグストアなどでOTC薬を買い求める時は、解熱鎮痛作用があるアスピリン、エテンザミド、炎症作用があるイブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェントなどを含む薬を選び、用法を守って服用しよう」
ただし、予防が一番だ。喉が乾燥すると、ウイルス感染しやすくなる。うがいや手洗いをよくする、水分を補給する、部屋を加湿する、人混みを避ける、マスクを着用する、規則的な生活を守るなどで予防できるだろう。
5月の爽快な薫風に咽頭痛は似合わない。
(文=ヘルスプレス編集部)