もはや我々の生活になくてはならない存在になりつつある100円ショップブランド。多くの企業が日夜商品開発に明け暮れるこの業界で、長らく2位の座を保持しているのが「セリア」だ。
安価ゆえに軽視されがちだった100円ショップブランド商品の「デザイン性」。その重要性に早くから目を付け、シンプルかつモダンなブランドイメージを確立させていったセリアは根強いファン層が多く、2020年3月末の時点で、全国に直営店が1633店舗、FC店が46店舗、合計1679店舗を展開している。
しかし、魅力的な商品が豊富に揃うセリアだが、これは買って失敗だったかも……と後悔してしまうような“残念商品”もチラホラあるようだ。そこで「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は今年も独自リサーチを実施。「この冬、買ってはいけないセリアの5品」を選出した。
修正テープ 5mm×12m/110円(税込、以下同)
年の始めにデスク周りのボールペンやメモ帳などの小物類を一新して、気分転換を図る人もいることだろう。だが、セリアの「修正テープ 5mm×12m」のメンバー入りは、少々考えものといわざるを得ない……。
この「修正テープ 5mm×12m」は、110円というスタンダード価格で手に入る商品で、テープの長さも12mと比較的たっぷりある。実際、修正テープとしての役割は果たせる商品ではあるが、ネット上では不安を煽るような声がチラホラ挙がっているのである……。
それは、“ヘッド部分が折れる”というもの。修正テープはその構造上、ヘッド部分を紙に押し付けるようにしてテープを貼り付けていくものだが、その肝心のヘッド部分のプラスチックがかなり簡素なのだ。スケルトンの本体から透けて見えるパーツは確かに貧弱そうな印象。壊れてしまってはいくら安くても無意味ではないだろうか。
ひつじの洗濯ボール 2個入り/110円
次は、去年の同企画でも紹介した商品「ひつじの洗濯ボール 2個入り」。今年の冬も店頭に並んでいたため、改めて紹介しておこう。
すっかり冷え込み厳しくなってきた昨今。ニット系の衣類など、毛量の多い洗濯物が増えていることだろう。そんな洗濯シーンで活躍するというこの商品。羊を模した核部分にモコモコとしたスポンジが付いており、洗濯物と一緒に洗濯機に入れておけば、抜け落ちた糸くずを絡め取ってくれるという触れ込みの代物だ。
だが、ネット上では“そもそも全然取れなかった”という、元も子もないレビューがいくつも挙がっている。セリアらしくキュートでわざとらしくない良デザインの商品ゆえに、その機能性の低さを嘆く声は、実に残念。
水キレの良いキッチンスポンジ 粗めタイプ/110円
日々、水回りは入念にきれいにしておきたいところだろう。だが、セリアの「水キレの良いキッチンスポンジ 粗めタイプ」を選ぶのはちょっと待ったほうがいいかもしれない。
110円という安価な価格設定、シンプルで清潔感漂う白いカラー、細かめと粗めの2層構造と、本品は高く評価できる点も多い。実際、売りである水キレの良さは使ってみて確かに感じられた。ただ、悩ましく感じた部分もあるのだ。
それはフォークや箸などのカトラリー類を洗っているときに、粗めのスポンジの穴に先端が引っかかってしまい、手から落っことしてしまうケースが頻発するということ。最悪スポンジがちぎれてしまう場合もあり、水キレの良さと天秤に掛けたときに疑問符が残るのは否めなかった……。
フレキシブル スマートフォンスタンド/110円
新型コロナウイルスの脅威は、今も我々の生活に大きな制限を及ぼしている。こうした時流のなかで、Zoomなどのビデオチャットサービスを利用した“リモート新年会”を開催する動きが増えてきている。
しかし、PCを使用している人はともかく、こうした場面でスマートフォンを使用している人を悩ませるのは“スマホを置く場所”だろう。立てかけているとすぐにずり落ちてしまったり、目線の高さと妙に合わなかったりとイライラすることもしばしばだが、セリアのこの商品はそんな悩みを解消してくれるという。
しかし実際は別のイライラが生まれてしまうのだ。本品は虫の足のように伸びた8本のアーム部分を、自由に折り曲げることで台座を作り出せるのだが、やってみるとその足の多さゆえに安定した台座づくりにかなり時間がかかる。パッと立てかけたいときに、おもちゃのようにグネグネと足を微調節する労力が煩わしいのである。
三角味噌マドラー/110円
寒いこの季節、味噌を使った温かい汁物はありがたいものだが、こうした調理の場面で面倒なのが味噌を溶かす作業だろう。菜箸とお玉でチャカチャカといつまでも溶かす作業は見た目以上にダルいものだ。
セリアの「三角味噌マドラー」は、こうした場面で活躍するアイデア商品。束ねたステンレスを味噌に直接差し込んで捻ると、約大さじ2杯分の味噌が取れる。それを鍋でそのまま振ればあっという間に溶けるというのである。実際本品は便利で、三角形の先端は入れ物の四隅に溜まった味噌も取れると評判だ。
だが、一方で不満の声もある。束ねた先端が固定されていないので、たまに外れてしまうという指摘があるのだ。これを戻すのが一苦労で、まるで知恵の輪をやっているようなストレスに苛まれることも……。購入するのなら、この欠点は承知しておくべきだろう。
デザインと機能性に富んだ商品ラインナップが売りのセリアにも、要注意アイテムは潜んでいるようだ。今回の記事がその回避に役立つことを願いたい。もちろん、紹介した商品にもメリットはたくさんあるため、あくまで参考として考えていただければ幸いである。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)
※情報は2020年12月22日現在のものです。