今回は、究極の病院選択方法のお話です。医療従事者はどうやって病院を選んでいるのかということです。
“極論君”の意見です。
「医療従事者は当然自分が働いている病院で治療を受けているのでしょう」
“常識君”の意見です。
「自分が働いている病院であれば、いろいろと融通もきくでしょう。昔は職員はすべて医療費の負担分は無料という病院もありました。病院としては少なくとも治療費の7割は医療保険から入ってくるので、患者である職員の自己負担分である3割を病院が負担しているというかたちになります。昔はそんな職員にやさしい病院はたくさんありましたが、今は相当減っています」
極論君が意見をいいます。
「職員だからといって特別な金銭的待遇がないにしても、自分が勤めている病院で治療を受けることは当然に思えますが」
“非常識君”のコメントです。
「すべての医療従事者が自分が勤めている病院に誇りを持っているとは限りません。そして内部事情を知っている以上、どこにかかっても同じ疾患であれば、自分の病院を受診するでしょう。しかし、命にかかわるような治療や手術となると、そう簡単にはいかないのではないでしょうか」
極論君がコメントします。
「ある大学病院の教授ががんになって、手術をしてもらうときに、本当は出身大学の病院で手術をしてもらいたいのだけれども、立場上そういうわけにはいかないと言って、不本意ながらも自分が勤務している病院で手術をしてもらったという話を知っています。内部事情を知っていればいるほど、病院の選択も難しいですね。
また、医師は診療科が違うとほとんど素人同然です。そんなとき、同窓の縁を頼って最適な医師を訪ねると、結構、自分たちの卒業大学を勧めないケースがすくなくないとも聞いています。先ほどの自分の出身大学で手術をしてもらいたかったというストーリーとは違う結論ですね」
医療は運と縁?
極論君が言います。
「僕は医療は運と縁だと思っています。どんないい病院を探しても、すべての医療従事者・医師が良いとは限りません。また医療は人間関係が大切な領域でもあります。多くの人には素晴らしい先生でも、ある人にとっては相性が合わないこともあるでしょう。ですから、僕は最初にかかった病院にすべてお任せしているのです。そして、その病院が他の病院への転院を勧めれば、専門家の意見を尊重して、すべて従うことにしています。それが、つまらない詮索をするよりもストレスもなくいいのではと思っているのです」