帯状疱疹の恐ろしい話…入院時の個室利用、実は支払い不要な差額を払わされる例多数?
非常識君が聞きます。
「水痘ワクチンは定期接種になったのですよね」
常識君が答えます。
「2014年10月1日より、任意接種から定期予防接種になり、希望者は公費で、つまり無料で接種できるようになりました。接種対象年齢は生後12カ月から36カ月までで、3カ月以上の間隔を置いて2回接種が行われます」
帯状疱疹の患者が今後は増加?
非常識君が尋ねます。
「ワクチンが定期接種化されると、水疱感染者が減少して、水痘のウイルスに感染する機会が減少します。今までは子供や孫が水痘になって、子供の頃に罹った水痘による免疫が続いているときに再び感染するので、発症しないで、かつ感染するという不顕性感染が起こっていました。これは免疫の維持には大切なことで、ブースター効果ともいわれます。そんなブースター効果を得る機会が、水痘ワクチンの導入で減少すると、帯状疱疹の患者が今後は増加するのではないです?」
常識君のコメントです。
「確かにそうかもしれません。しかし、一時的な帯状疱疹の発症増加が終われれば、こんどはワクチンによって水痘に罹っていない人口がどんどんと増えます。そうすれば帯状疱疹の原因となる水痘の発生を経験していないことになるので、将来的には帯状疱疹が激減するはずなのです。また、そんな水痘に感染する機会が激減したときにも免疫力を維持できるように、水痘ワクチンは50歳以上の人に、帯状疱疹の予防という病名で使用できるようになりました」
非常識君がコメントします。
「水痘に罹ってもブースター効果が働かないと、水痘や帯状疱疹になるのですね。すると水痘ワクチンを打っても、ブースター効果が働かなければ、また大人になって水痘に感染する可能性もあるのですね。実は自然感染がもっとも強力なワクチンでしょう。しかし本物の水痘感染では希に入院も必要です。そんな希な合併症を防止するために、世の中全体が水痘に弱くなっているようにも思えます。
天然痘のように水痘を世界から根絶できればいいのでしょうが、発展途上国では当たり前の病気として子供に流行しています。以前の日本と同じですね。世界が狭くなり、移動手段も安価になると、どんどんと他の国の水ぼうそうが流入しそうですね。そんなときには僕たちは水疱ワクチンのお陰で爆発的な感染は起こらないが、集団としては水痘感染に弱いという丸腰に近い状態なのですね。ちょっと不気味です」
非常識君の非常識君らしい意見で終わりました。
(文=新見正則/医学博士、医師)