皆さんのなかに、なんとなくだるい、すっきりしない、食事が美味しく感じられない、肌の調子が悪いなど、「今までとなんとなく違うなぁ」と感じている人がいませんか?
新型コロナウイルス感染症が世界中に広がりをみせたことで、不要不急の外出を控える、ソーシャルディスタンスを保つなど、生活様式の大きな変容が起こり、私たちはニューノーマル時代を生きています。そんな時代の背景により、今までと異なる“自由にならない生活”に対してストレスを感じて、コロナ疲れに陥っている人が増大していると聞きます。
「私もそうだ」と感じている方、コロナ疲れなどストレスによって、消費されやすいミネラルやビタミンがあることをご存じでしたか?
私たちの体は、ストレスにさらされていると、肝臓や腎臓で「メタロチオネイン」というストレスたんぱくの合成が高まりますが、メタロチオネインは亜鉛と強く結合する性質があります。そのため、ストレスにさらされると亜鉛の消費が高まるのです。
時間栄養学の研究報告によると、亜鉛は、他のミネラルに比べて血中濃度の変動が大きいといわれ、朝に上昇し、夜に低下するとのことです。このことからも日中、ストレスにさらされることで、ストレスたんぱくの合成に亜鉛が消費され、その結果、夜に減ってしまうとも考えられそうですが、真実は定かでありません。
また、ビタミンCも、亜鉛と同様にストレスによる不足が生じやすいです。ビタミンCは、抗ストレスホルモンといわれる副腎皮質ホルモンの生成や神経伝達物質の合成に必要です。ストレスがかかると、脳のある組織からホルモンが分泌され、それを介して副腎皮質からコルチゾールという物質がつくられストレスに対抗するようになります。ビタミンCは、副腎を保護するために利用されます。
そこで、何かとストレスを受けることが多い昨今、食事できちんと亜鉛やビタミンCを補給して不足しないようにして、コロナ疲れの身体をいたわってあげましょう。
とはいえ、亜鉛とビタミンCだけ摂ればよいと考えるのは早急です。栄養素はお互いに協力しあって働いていますので、亜鉛やビタミンCだけを単独でとっても、うまく作用しないのでお気をつけください。
食事は、主食、主菜、副菜の組み合わせにすることが基本です。栄養バランスが整うことで、亜鉛やビタミンCをはじめとする栄養素の働きが高まります。参考までに、亜鉛やビタミンCを比較的多く含む食材を、主食、主菜、副菜、フルーツ・種類のカテゴリー別に紹介します。
主食
・亜鉛が多い食品:穀類であれば、そば、パスタ、赤飯
・ビタミンCが多い食品:穀類は、なし
主菜
・亜鉛が多い食品:牛肉(かた、かたロース、リブロース、もも)、豚(レバー)、牡蠣、毛ガニ、するめいか、帆立貝、うなぎ、さんま、まだこ、がんもどき、生揚げなど
・ビタミンCが多い食品:レバーやハム(脂質や塩分も多いので摂り方に気をつけましょう)
副菜
・亜鉛が多い食品:スイートコーン、えだまめ、ブロッコリー、ほうれんそう、ひらたけ、うすひらたけ、やつがしらなど
・ビタミンCが多い食品:さつまいも、じゃがいも、ピーマン、豆苗、水菜、ブロッコリー、ニガウリ、カリフラワー、菜花、キャベツ、カボチャ、シシトウ、さやえんどう、トウガン、こまつな、ほうれんそう、チンゲンサイなど
フルーツ、種実類
・亜鉛が多い食品:アボカド、メロン、カシューナッツ、ひまわりの種、ブラジルナッツ、アーモンドなど
・ビタミンCが多い食品:オレンジ、キウイフルーツ、ぽんかん、いちご、はっさく、なつみかん、いよかん、グレープフルーツ、うんしゅうみかんなど
なお、ビタミンCは、摂り方に工夫が必要です。水溶性のビタミンなので1度に多く採っても余分な分は外に排出されてしまいます。毎食、ビタミンCの多い食品をとることが効率的な摂り方になります。
日ごろからストレスフルな状況に置かれている私たちは、亜鉛やビタミンCが不足しないような栄養バランスのとれた食生活を心掛けましょう。
(文=森由香子/管理栄養士)