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森由香子「間違いだらけの食」

夏の体の不調や睡眠不足はタンパク質不足が原因?簡単に摂取できる朝食メニューとは?

文=森由香子/管理栄養士
夏の体の不調や睡眠不足はタンパク質不足が原因?簡単に摂取できる朝食メニューとは?の画像1
「Getty Images」より

 夏になると暑さが原因で睡眠不足に陥る人も少なくありません。暑さ対策は、エアコンの活用(温度26~28度、湿度50~60%)、吸水性・通気性にすぐれたパジャマを着用する、また、遅い時間まで飲酒をしている方は、早めに切り上げ、早寝早起きを心がけるなどで、睡眠時間、睡眠の質を高めることを意識しましょう。

 ところで、慢性的な睡眠不足になると、免疫機能の変調が起き、慢性疾患の発症、急性感染症の罹患のリスクが高まることをご存じでしょうか。2万2726人に対して睡眠時間および過去30日間の風邪や呼吸器感染症の罹患率を疫学調査した結果、5時間以下の短時間睡眠者において高い関連性があったということです。

 睡眠不足になると食欲はどうでしょう。

 起床しても食欲がわかないため、朝食をパスしてしまう人、缶コーヒーだけで済ませてしまう人も少なくないのではないでしょうか。こうした食生活パターンは、栄養不足、特にたんぱく質不足が懸念されます。

 食事によるたんぱく質不足は、同時にエネルギー不足にもなっていることが多いです。この状態が長く続けば、カラダのたんぱく質量(筋肉量、内臓のたんぱく質量)が減少して、種々の身体的・機能的な障害が起こり、比較的早い段階で免疫低下が起こることがわかっています。(出典:アンチ・エイジング医学2020年6月号〈Vol.16 No.3〉)

主な食品のたんぱく質含有量

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『管理栄養士が教える美肌スープ』(森由香子/青春出版社)

 実は、日本人の朝食においてたんぱく質不足の問題が起きていることが、国民健康・栄養調査(2018年)の結果から判明しました。こちらの報告では、1食あたりのたんぱく質推奨量を約20gとすると、どの世代も朝食でその数値を満たしていないことがわかりました。そのため、朝食において、たんぱく質の摂取を意識的に増やす必要があると指摘されています。

 ここでいう「たんぱく質20g」というのは、たとえば「肉20g」のことではありません。食品に含まれるたんぱく質の含有量、栄養成分のことを指しています。たんぱく質含有量の高い食品(肉、魚など)でさえも、たんぱく質の占める割合は20%前後です。

 ご参考までに主な食品のたんぱく質含有量を紹介いたします。( )内がたんぱく質含有量です。

ごはん150g(3.8g)、食パン6枚切り(5.6g)、そうめん1束50g(4.8g)、フルーツ200g(1g)、野菜350g(5g)、卵1個60g(7.4g)、ひきわり納豆50g(8.3g)、普通牛乳200ml(6.9g)ヨーグルト90g(3.9g)、プロセスチーズ1個20g(4.5g)、豚もも肉薄切り1枚30g(6.2g)、牛もも肉薄切り1枚50g(9.8g)、若鶏ささみ1本40g(8.7g)、フランクフルトソーセージ1本50g(6.4g)、鮭1切れ80g(17.8g)、鯖缶詰(水煮)1缶190g(39.7g)、かつお刺身5切れ80g(20.6g)

 ほかにも、朝食でしっかりたんぱく質をとることの効果は絶大です。睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」は、たんぱく質を構成するアミノ酸のひとつ、トリプトファンを原料としてつくられています。たんぱく質を食品から過不足なく補給しておけば、メラトニンをつくる態勢が整います。

 メラトニンは、体内時計の働きによって朝の光を浴びてから14~16時間後に血中濃度が高くなり始め、眠りの準備に入ります。メラトニンは明暗に依存して分泌されるので、眠る前に明るい照明のところにいると、分泌が抑制されて寝つきを悪くする原因になります。

お勧めする朝食の献立

 では、朝食でたんぱく質20gをどのようにして摂り入れたらよいか、私がお勧めする朝食の献立を紹介いたします。

 野菜スープのなかに、たんぱく質含有量の高い肉、魚、卵、大豆製品のいずれかを入れて「おかずスープ」をつくります。主食(パン、ごはんなど)を揃えれば、バランスのとれた献立の出来上がりです。

 スープをすすめる理由は、料理が苦手でも簡単にでき、スープだけでバランスのよい食事ができるからです。

<夏の朝食:たんぱく質総量20.8g>

【トースト】(  )内はたんぱく質含有量

食パン6枚切り1枚 60g(5.6g)

【スープ】

ソーセージ2本100g(12.8g)

ブロッコリー2房30g(1.3g)

人参 1/2 本 100g(0.7g)

コンソメ1個 5g(0.4g)

水 400ml

【作り方】

1.食材を食べやすい大きさに切る

2.鍋にコンソメ、水をいれて火にかける

3.沸騰したら、1.を入れて食材に火が通るまで煮る

 梅雨の時季から始まる高温多湿な気候、そして今年はマスクをつけていることもあり発汗量がいつも以上に増えているかもしれません。汗をたくさんかくとエネルギー消費が大きくなり、ビタミンやミネラルも不足しがちになります。朝食での「おかずスープ」は、汗で消失するエネルギー、ビタミン、ミネラルの補給もできます。

 質の良い十分な睡眠をとった後に食べる、トーストと「おかずスープ」で、たんぱく質を適量とり栄養状態が良好に保てれば、免疫力の維持にもつながります。暑い夏は、栄養補給を万全にして万病を退けましょう。

(文=森由香子/管理栄養士)

・参考図書:管理栄養士が教える美肌スープ 青春文庫 2020年6月発売(新刊です)

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森由香子/管理栄養士

森由香子/管理栄養士

東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。 クリニックにて栄養指導、食事記録の栄養分析、食事管理業務に従事。フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱している。「老けない人は何を食べているのか」「病気にならない人は何を食べているのか」「体にいい『食べ合わせ』」「太らない人の賢い食べ方」「老けない人の献立レシピ」など著書多数

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