一時期テレビやインターネットで話題になっていた「ファン付き作業服」。小型のファンが取り付けられている作業服で、体の表面に大量の風を流すことで汗の蒸発を促し、その気化熱によって涼を取るアイテムだ。
いかにも作業服といったデザインが多かった登場当初と違い、現在はベスト型などデザイン性に優れた商品も多いが、外出や簡単な外での作業時に着用するには大仰に思えて抵抗感を抱くという方も少なくないはず。だが、今回紹介させていただく「ハンズフリー2wayファン『腰ベルトファン2』」(以下、腰ベルト)であれば、スマートに風を体の表面に浴びることができる。
腰ベルトは、ネッククーラーや水冷クールベストなどの冷却グッズに定評のあるサンコー株式会社の商品。その名の通り「持たないUSB充電式扇風機『腰ベルトファン』」の後継機で、より小型化して連続使用時間も延びたのだという。
ズボンやベルトに装着することで、上半身の表面に風を送り込むことができる腰ベルトは、まさに期待していたような効果を手軽に得ることができるアイテムと思われるが、果たして実用にどこまで耐えられるのだろうか。
そこで今回は、腰ベルトを実際に購入し、その使用感をレポートしたいと思う。
さっそく注文! ところが人気のあまり1カ月待ちに…
5月中旬にサンコー株式会社の直営オンラインショップ「サンコーレアモノショップ」で購入しようとしたところ、あまりの人気のためか品切れとなっており、6月下旬の商品到着となった。現在(7月6日時点)は最短で翌日に到着するとのことなので、安心して購入してほしい。価格は税込2980円だ。
パッケージには腰ベルト本体、首にぶら下げて使用する際に使うネックストラップ、充電に必要なmicroUSBケーブル、取扱説明書の4点が封入されている。取扱説明書には、注意事項やお手入れの方法、故障が疑われる場合の対応についても記載されているので、紛失してしまわないように注意しよう。
本体は黒一色のシンプルなデザイン。表には格子の付いた吸気口とシャツをかけるフック、裏側にはストラップ用の穴が空いているベルト用のフック、上部には電源ボタンとその真横に位置するLEDランプ、風の吹出口が付いている。
使い方はシンプル! でも使いこなすにはコツが必要?
ズボンやベルトにベルトフックを掛け、吸気口を塞がないようにTシャツの裾をシャツフックで挟んだらセッティング完了。大きさは幅7.5cm、奥行き4.5cm、高さ10cmで、重量は約168gの小型・軽量サイズとなっているため、使用中に大きさや重量感でストレスを感じることはほぼない。
電源ボタンを押すとLEDランプが青く点灯し、シャツの内側に風が流れ始める。風量は「弱」「中」「強」の3段階で、電源ボタンを1回押すと風量「弱」の風が吹き出し、2回で「中」、3回で「強」に変化し、4回押すと電源が切れてリセットされるという仕組みになっている。そのため、「中」から「弱」に戻す場合は電源ボタンを3回押す必要があり、若干の不便さが感じられるかもしれない。
実際に使用してみたところ、風量「弱」はそよ風が吹いているような感覚で、歩いている最中などではほとんど風が感じられなかった。「中」に変えると、動いている間でも体の表面に風が流れていることが実感でき、「強」になると機械のサイズを考えると少し驚かされるような、かなりの量の風が吹き出していた。
ただし、風量が強ければ強いほどいいわけではなく、風量にしたがって駆動音が大きくなるという難点がある。特に「強」は屋外で歩いていてもハッキリ聞こえるほどの音量になるため、音の大きさが気になりがちだという方や、静かな場所で使うという場合は風量に気をつけていただきたい。また、連続使用時間は「弱」が約15時間、「中」が約6時間、「強」が約3時間となっているため、強い風量のまま長時間の使用ができない点にも注意だ。
シャツフックはTシャツと合わせてワイシャツを挟むなど、2枚以上挟もうとするとかなり動きに干渉してしまい、動く際に衣服がシャツフックから外れてやすいという欠点がある。さらに、ランニングなど体を大きく動かす運動をする場合だと、風量にムラが出て効果があまり感じられなくなってしまう。そのため、薄着かつ激しい運動を避けた場面が、このアイテムをもっとも効果的に活用できるシチュエーションといえるだろう。
付属するネックストラップを使用すると、首かけ扇風機のような使い方をすることも可能。腰に装着するとき以上に動きに弱いが、その分「弱」でも十分に風が当たっている実感と清涼感を得られるので、こちらは腰を落ち着けてひと休みするような場面で使うのがオススメだ。
充電には付属のmicroUSBケーブルを使用し、USB側をアダプターなどに挿し込むことで行う。充電中はLEDランプが赤く点滅し、このランプが消えたら満充電の合図だ。取扱説明書の商品仕様によれば充電時間は約3時間とのことだったが、筆者が実際に充電したところ6時間近くたっても満タンにはならなかったため、充電機器の性能に大きく左右されると見るべきだろう。また、充電しながら使用することも可能だ。
一通り実用してみて感じたのは、腰ベルトは腰に装着して体の表面に風を送るというシンプルな使い方とは裏腹に、効果的に活用するために使用者がある程度気を配る必要がある、トリッキーな商品だということだ。
これはそれだけ手間がかかるという意味でもあるため、人によっては敬遠する要素にもなりかねるのだが、逆にいえば工夫次第でちょっとしたひと休みに涼をとったり、外仕事やウォーキングの蒸し暑さを緩和したりといった、さまざまな場面で使うことができるアイテムということでもある。手軽に涼しさを感じたい方というよりは、道具と向き合うことに楽しさを感じる方向けの商品ともいえるだろう。
腰装着用の扇風機としてだけでなく、首かけ用にも使えることを考えると、機能に見合った価格になっているため、気になった方はぜひ購入して試してみてほしい。
(取材・文=大河原靖/A4studio)