5年生存率8%…星野仙一氏のすい臓がん、症状・早期発見方法・罹らない方法は?
症状
毎年3万人もの日本人の命を奪うすい臓がんは自覚症状が乏しく、発見時には「43.4%」が他の臓器に転移している「ステージ4の末期がん」(国立がんセンター発表)。5年生存率も「8%未満」。すい臓は胃の後ろのほうにある約15cmほどの細長い器官で、英語で「pancreas」というが、消化液の分泌(外分泌)、インスリンやグルカゴンなどホルモンの分泌(内分泌)などの体内の重要な作用を担っている。
すい臓がんの症状としては、「胃から背中にかけての重苦しさ、痛み」「食欲不振」「体重減少」「黄疸」などがあるが、これらはある程度、病気が進行してから表れる。
エコー(超音波)検査でもチェックできるが、すい臓は胃の後ろに存在しているため、腸のガスや、太っている人は内臓脂肪が邪魔して「直径1cm以下のすい臓の腫瘍」を見つけるのは難しい。胃カメラを使って、細い管を胆管、すい管に直接挿入し、造影剤を注入して検査するERCP(内視鏡的逆行性胆管すい管造影)もあるが、患者の負担が大きい検査法だ。
そこで、すい臓がんの早期発見に一番お勧めなのが「MRCP」(MR胆管すい管撮影)だ。MRCPは胆汁やすい液の状態を強調して映し出してくれる「MRI」である。
罹らない方法
さて、すい臓がんのこうした早期発見法を知っておくことも大切であるが、もっと大切なのが、すい臓がんに罹らないことだ。
「欧米型のがん」のひとつである「すい臓がん」の発症要因として、「動物性脂肪」や「アルコール」の摂りすぎがあげられる。よって「和食中心の食事」「アルコールはほどほどに(日本酒なら2合、ウイスキーならダブル3杯、ワインならグラス2~3杯、焼酎なら水割り3~4杯、ビールなら大びん2本以内)」が大切である。
そして、もうひとつの敵はストレスだ。
星野氏、千代の富士、竹田氏は激しい運動を長年やったスポーツ選手だ。運動に限らず、強いストレスは体内に活性酸素を大量に発生させ、がんをはじめ万病の要因となる。
「大きなストレスからは逃げよ」「小さなストレスは忘れよ」などといわれるが、そう簡単にはいかない。ストレスから逃れるには「自分の好きなこと(趣味)をやる」「競争しないスポーツを自分のペースでやる」「ゆっくり入浴する」「友人、知人らと談笑する、会食する」など、「やってみて気分の良いことを努めて多くやる」ことだ。そうすることで「戦いの神経」といわれる交感神経の緊張がとれ、「リラックスの神経」といわれる副交感神経の働きが優位になり、活性酸素も除去され、免疫力があがる。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)