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近年、刺激の強い食品を多く摂取するようになった日本人は、味がわからなかったり薄く感じたりする味覚障害の患者が増えており、「その結果として、肥満傾向の人が増えているのではないか」ともいわれています。
味覚障害の原因のひとつは唾液腺の機能低下によって唾液が減るドライマウスですが、酸味は唾液を増やすことがよく知られています。読者のみなさんのなかにも、「レモンを見ただけで酸っぱく感じて唾液があふれる」という人が多いのではないでしょうか。酸味による唾液分泌は数分しか効果が持続しませんが、意外なことに、うま味にも酸味と同程度の強い唾液分泌作用があることが同じ学会で報告されました。しかも、うま味による唾液分泌は20分以上も続いたのです。
そこで、ドライマウスの患者が昆布を使っただし汁で30秒間口をすすぐことを1日10回程度繰り返したところ、2週間目から唾液の分泌量が増えたことがわかりました。これらの結果から、だし汁を摂取することによって日本人特有の繊細な味覚が回復し、脂っこいものや甘いものの摂取量が自然に減少するのでBMIも低下することが期待されます。
最近は「シンデレラ体重」といわれるように、ひたすらBMIを下げようとする人が増えていますが、食事を減らすと栄養失調、筋肉減少、摂食障害、うつ症状など、さまざまな弊害が生じる恐れがあります。
だし汁を使ったおいしい日本料理を食生活に積極的に取り入れることによって、グルタミン酸の脳への働きかけで健康的にBMIを下げることができそうです。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 環境安全部製品安全グループ グループリーダー)
【参考資料】
「新横浜ラーメン博物館」
「日本病態栄養学会誌 第21巻 supplement(2018)」
「うま味感度低下と肥満」(山陰労災病院循環器科 水田栄之助)
『食べ物はこうして血となり肉となる~ちょっと意外な体の中の食物動態~』 野菜を食べると体によい。牛肉を食べると力が出る。食べ物を食べるだけで健康に影響を及ぼし気分にまで作用する。なんの変哲もない食べ物になぜそんなことができるのか? そんな不思議に迫るべく食べ物の体内動態をちょっと覗いてみよう。
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