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座りすぎ、がんリスク増や疲労感の高まりに関連…1日11時間以上で総死亡率1.4倍

文=喜屋武良子/清談社
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 また、40~50代で座位時間が長い人の場合、座位時間が短い人に比べて仕事中に「活力」「熱気」「やりがい」を感じていないという人が1.4~1.6倍近くも多い結果になったという。

 さらに、座りすぎは仕事の生産性だけではなく仕事後の活動にも悪い影響を与える。

「オーストラリアのメルボルンにあるベイカー心臓病・糖尿病研究所の研究によると、「『長時間座り続ける』という条件と『30分ごとに3分、座位行動をブレイクする』という条件を比較した研究があるのですが、前者のほうがより疲労感が高まることがわかっています。人の行動はそのときの気分や感情と密接に結びついているので、長時間座り続けて夕方以降にどんよりと疲れてしまうと、その後のアクティブな行動からも遠ざかってしまいがちになります」(同)

 たとえば、仕事後に「ジョギングやスポーツジムでひと汗かこう」と思っていたのに、そんな気持ちではなくなり、結局に家に帰ってダラダラ過ごしてしまったことがないだろうか。それは座りすぎが原因だった可能性があるのだ。

 さらに深刻なのは、座りすぎによる健康リスクだろう。驚くべき研究結果が報告されている。

「アメリカのSeguinらが2014年に米国予防医学会誌に発表した研究では、10万人弱の女性を12年間にわたって追跡調査しているのですが、総座位時間が1日8~11時間の人は、4時間未満の人に比べてがんのリスクが1.2倍も高いことがわかっています。実際、座りすぎは子宮内膜がん、結腸がん、乳がん、肺がんなどのリスクと関連性があることが明らかになっています」(同)

 座りすぎは、がんだけでなく、心臓病、脳卒中、血管疾患による死亡リスクとも関係がある。こうした健康リスクを積み重ねることによって、寿命を縮めてしまう恐れもあるという。

「シドニー大学の研究チームが、45歳以上の22万2497人を3年近く追跡調査し、その結果を2012年に発表しています。それによると、座位時間が0~4時間の人と比べて『11時間以上座っている人たちは総死亡率が1.4倍も高い』という結果が出ています」(同)

座りすぎリスクを軽減するスタンディングデスク

 座りすぎのリスクを回避するには、どうすればいいのか。残念ながら「仕事後や週末に体を動かせば大丈夫」という考えは甘い。「軽い運動程度では、座りすぎのリスクは相殺されません」(同)というからだ。

「『The Lancet』という医学誌に掲載されたデータによると、座位行動が8時間を超え、かつ中高強度の運動が1日5分未満の人の死亡率は、1日60~75分程度の運動をし、かつ1日の座位行動が4時間未満の人に比べて1.59倍となっています。毎日25~35分の運動をしても死亡率は1.27倍。座位行動が8時間以上の人は、1日60~75分程度の運動をしなければ死亡率を1.04倍にまで抑えられません」(同)

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