しかし、こんな高さでへこたれている場合ではない。次に挑戦するのは、11mのジャンプ台から飛び降りる「東京ブレイブフォール」。様子を見ていると、どうやら小学校低学年くらいの子供たちがキャッキャ、キャッキャと飛び降りている。バンジージャンプとは異なり、ワイヤーの力で落下速度も低減されることから、スローペースで降りられる。あんなに小さな子供でも楽しんでるくらいだし、上に立ってみたら、意外とたいして怖くないんじゃないか。同じ高所なら7mも11mも変わらないはず……だ。
「……すみませんでした」
目もくらむような高さとはこのことか、足が震える。そんな筆者の姿を横目に「ジャンプするのではなく階段を降りるように足を出してください」と係員。いったい階段がないのに、どうやって足を出せというのか。バカみたいなことを言うな!
「5……4……3……」
こちらのパニック状態をよそに、また非情なまでのカウントダウン。あーあ、なんで、こんなことをしなきゃならないんだろう……。こんな仕事辞めたい……。編集のAさん、もう限界です……。
「2……1……」
飛んだ! というか、落ちた。またしても目を開けていられなかったことから、六本木で優雅な空中散歩はかなわず、安全マットの上にぶざまに墜落。しばし、腰が抜けたように立ち上がれなかった。
筆者は、あらゆる絶叫マシーンに乗れないビビリなので、楽しさよりも恐ろしさでいっぱいだったものの、周囲のカップルや保護者らの反応を見ている限り「大人も楽しめる」という触れ込みは間違いないようだ。
ところで、この「ミッドパークアスレチック」と「豊洲そらスタジオ」を運営しているのは日建リース工業。建築資材のレンタルをメインに行っている会社だ。いったいどうして、日建リース工業が、このようなアスレチックを設置するのだろうか?
「建築資材を使用して大型アスレチックをつくることで、資材の有効活用ができるのではないかと考えました。建築資材の扱いには長けていますので、安全に、かつスリリングに楽しめるアスレチックが開発できるんです」と同社広報担当者。昨年は「有明そらスタジオ」を開設し、4万6000人を動員。今年も「豊洲そらスタジオ」では、同程度の来場者を予想している。
「豊洲はフリーパスのお客様をメインに、一日中遊べるように10個以上のアトラクションを用意しています。一方、六本木は東京ミッドタウンが開催する夏イベント『ミッドタウンラブズサマー』内の企画なので、アートとアスレチックを融合したアトラクションを4つ設置。ミッドタウンのほかのイベントと合わせて楽しんでいただきたいです」(前出・広報担当者)
「ミッドパークアスレチック」に関しては、一日中遊べるという規模ではないものの、周囲にはショッピング施設や美術館などが点在している六本木。ほかの目的と合わせた気軽なレジャーとして足を運んでいる人が多い様子。確かに、遠出をするための交通費や手間を考えたら、都心で非日常の体験が味わえるアスレチックは魅力的かもしれない。ただし、筆者自身はもう二度と行きたくない……。
(文=萩原雄太)