シュウ酸の性質を知る
尿中のシュウ酸の半分以上は、食事に由来するといわれています。そこで、シュウ酸の多い食品を食べなければよいと思った方もいるかもしれません。それも一理あります。
しかし、実はシュウ酸はあらゆるものに多かれ少なかれ含まれていますので、多くのシュウ酸が尿までいかないように調理方法や食事での食べ合わせを考えることが、効率の良い方法といえます。
それには、シュウ酸の性質を知ることです。大きく2つあります。
1つ目は、シュウ酸には水溶性があることです。ゆでることで、かなり減らすことができます。
2つ目は、シュウ酸はカルシウムと結び付きやすい性質があることです。カルシウムが豊富な食品を一緒に摂れば、腸内でカルシウムとシュウ酸が結合してシュウ酸カルシウムとなり、便として排泄されます。シュウ酸が尿へいくことを防いでくれます。
しかし、食事からのカルシウムの量が少なくシュウ酸の量が多いと、腸内でシュウ酸カルシウムがあまりできないため、シュウ酸が尿へといってしまい尿のなかに存在するカルシウムと結合して石をつくってしまうのです。そのため、腸内でシュウ酸と結び付くカルシウムを食事から増やし、便とともに排出することがおすすめなのです。
タケノコ料理を食べるならば、カルシウムが豊富な小魚、干しえび、小松菜、乳製品を一緒に、汁椀をつくるなら、カルシウムが豊富な煮干しでだしを、天ぷらなら、衣にスキムミルク(脱脂粉乳)を少量加えてみましょう。食後に、ヨーグルトを食べるのもよいですね。
また、水分をしっかり摂りながらお食事をし、体内へシュウ酸を長時間ためないようにしましょう。水分補給におすすめは、水道水、ミネラルウォーター(軟水)、麦茶、ほうじ茶です。アルコール、コーヒー、ウーロン茶、紅茶、緑茶には、シュウ酸がふくまれていますので、シュウ酸の多い料理を食べるときは、摂りすぎないほうが無難です。
山菜やたけのこの天ぷらをいただくなら、美味しい抹茶塩も、この時だけは、控えたほうがよいかもしれません。
食後にコーヒー、紅茶をいただく時も、いつも何も入れない方は、ミルクを入れましょう。コーヒー、紅茶のシュウ酸がカップの中でミルクに含まれるカルシウムと結びつきシュウ酸カルシウムができるので、シュウ酸が単独で尿中へいくのを防いでくれます。
尿路結石をつくる危険因子は、シュウ酸だけではありませんが、材料のひとつになっているので、春の野菜をいただくときは、特にご注意ください。
(文=森由香子/管理栄養士)