1983年、アメリカのワシントン州シアトル発祥の会員制倉庫型スーパーマーケット「コストコ・ホールセール」。アメリカンサイズの食品や日用品、家電、衣料品などの幅広い品揃えが人気の要因となり、現在839もの倉庫店(2022年9月28日現在)が世界各国で展開されている。
コストコは、入荷したままのパレットに載っている商品を大型の倉庫に並べて販売することにより、商品管理や陳列にかかるコストを徹底的に抑えるスタイルを確立し、高品質な商品をできる限り低価格で提供しているのだ。
そんなコストコの商品は、たびたびSNSやYouTubeでも紹介され話題を呼んでいるが、なかでも食品類は大容量でお得なだけでなく、味も美味しいと評判になるものが多い。しかし、一部の購入者からは「気になって買ったけど味が微妙だった」「人気の定番食品と聞いて食べてみたけどいまいち」といわれてしまうことも――。
そこで今回は、そんなコストコの定番人気商品ながら一部から不評の声があがる「プルコギビーフ」(税込3236円)を購入し、ネットなどで好評なアレンジレシピを用いて実際に調理。アレンジしたことによって美味しくなるか、検証していきたい。
「炊き込みご飯」:味付けは醤油だけなのに旨みたっぷり
プルコギビーフは味付け牛肉と玉ねぎの上に青ネギとゴマがたっぷりかかっていて、大きめにカットされた肉は食べ応え抜群。容量は約2000gのため、小分けで冷凍保存する人が多いそうだ。
冷凍保存ができる点やコスパが良い点から、コストコの定番商品となっているプルコギビーフだが「肉質があまり良くない」「味付けが安っぽい」と味について不満を口にする人も――。まずは、その不評コメントの真偽を確かめるべく、購入したままの状態で焼いて食べてみることに。
食べてみると、プルコギらしい甘い味付けが印象的だ。確かに、肉質が良いか悪いかといわれるとどちらとも付かず、味も甘さがかなり引き立っていて、好みが分かれる料理に思えた。
プルコギビーフ本来の味がわかったところで、アレンジレシピを試してみよう。
今回参考にしたレシピは、日々の暮らしに役立つ情報をYouTubeで発信しているYouTubeチャンネル「TastyTime」の「コストコのプルコギビーフおすすめアレンジレシピ / 炊き込みご飯・和風パスタ・キンパ・肉じゃが/10 WAY TO EAT COSTCO BULGOGI BEEF」という動画で紹介しているアレンジ方法だ。
最初に作るアレンジレシピは「炊き込みご飯」。用意する材料は以下のとおり。
・プルコギビーフ(130~150g)
・お米(1合)
・水(1合弱)
・醤油(小さじ1~2)
・ごぼう(30g)
・ニンジン(30g)
・青ネギ(適量)
・白ごま(適量)
味付けは醤油のみというシンプルなレシピだが、食材やお米にしっかりと味が染み込むのかが気になるところ。さっそく作ってみよう。
まずは「お米(1合)」を研ぎ、炊飯器にお米と「水(1合弱)」を入れる。次に、ささがきにしたごぼうと細切りにしたニンジン、コストコのプルコギビーフを炊飯器に加える。最後に「醤油(小さじ1~2)」を加えていつも通りに炊き、お好みで青ネギと白ごまを載せれば炊き込みご飯の完成だ。
食べてみて驚いたのは、味付けは醤油のみにもかかわらず、しっかりと素材やご飯に味が染み込んでいて、それぞれ食材の旨みが感じられたこと。もともとプルコギビーフにタレがついていることもあり、炊き込みご飯全体に味が染み渡ったようだ。
簡単な調理工程のわりに、本格的でオリジナリティの高い美味しい炊き込みご飯になった。韓国料理を簡単アレンジで創作和風料理にしたというイメージで、ガッツリめの炊き込みご飯が食べたいときや、主食のお米をグレードアップさせたいときに、おすすめである。
「肉じゃが」:短時間で作れるさっぱりとした味わい
次に作るのは、お惣菜の定番である「肉じゃが」。同じくTastyTimeのYouTube動画を参考に調理していく。用意する材料は以下のとおり。
・プルコギビーフ(200~250g)
・じゃがいも(小2~3個)
・ニンジン(1/3本)
・玉ねぎ(1/2個)
・いんげん(少々)
・醤油(大さじ1~2)
炊き込みご飯と同様、味付けは醤油のみという簡単なレシピ。一般的な肉じゃがは砂糖や酒、みりんなどを加えるものだが、はたしてどんな肉じゃがが出来上がるのだろうか。
作り方は、まず鍋に油を引き、プルコギビーフを炒める。ある程度火が通ったら、鍋にニンジン、じゃがいも、玉ねぎを加える。事前にニンジンとじゃがいもを電子レンジで加熱しておくと早く火が通り、時短につながるとのことだ。
次に具材が浸るように水を入れ、約7分煮込んだ後、「醤油(大さじ1~2)」を加える。さらに中火で約10分加熱し、最後にいんげんを入れた状態で加熱したら完成だ。
食べてみると、それぞれの食材にプルコギビーフのタレの旨みが染み込んでいて、想像していた以上に肉じゃがらしい味になっていた。出来立ても美味しいが、1~2時間たってから食べたほうがさらに味が染み込み、ご飯のお供にぴったりな一品となるだろう。
こちらも先ほどの炊き込みご飯と同じく、韓国料理をちょっと個性的な和風料理にアレンジするというレシピだった。従来の肉じゃがよりもややさっぱりとした味ではあるが、短時間でこの味が出せたのはプルコギビーフのおかげに違いない。
「和風パスタ」:ニンニクと醤油でガッツリ系パスタに
最後に作るのは、「和風パスタ」だ。こちらもTastyTimeのYouTube動画を参考に調理していこう。用意する材料は以下のとおり。
・コストコのプルコギビーフ(150g)
・パスタ(100g)
・エリンギ(1本)
・長ネギ(適量)
・ニンニク(1片) ※今回はチューブタイプのもので代用
・醤油(小さじ1~2)
・塩コショウ(適量)
ここまで2品を調理してわかってきたが、もともと濃くしっかり味が付いているプルコギビーフを加えることで余計な味付けが不要になり、食材本来の味を楽しみながら食べることができるようだ。
作り方は、まずスライスしたニンニクをオリーブオイルで炒め、あとからプルコギビーフを加えて炒める。このとき、中火~強火でさっと炒めると水分が出ず、味が薄くならないとのことだ。
肉に火が通ったら茹でたパスタを加え、肉とパスタが絡んだら、「塩コショウ(適量)」と「醤油(小さじ1~2)」を加えて混ぜ合わせる。最後に、切ったエリンギと長ネギを入れ、さっと炒めたら和風パスタの完成。今回筆者は使わなかったが、お好みで輪切り唐辛子を載せると、ピリッと辛いアクセントになるという。
盛り付ける段階からニンニクと醤油の香りが食欲をそそり、早く食べたいという気持ちがかき立てられた。いざ食べてみると、ニンニクの風味と醤油の香ばしさが口の中に広がり、エリンギや長ネギと非常にマッチした味わいになっていた。プルコギビーフの味も相まってガッツリとした味付けとなり、かなり食べ応えのあるパスタといえるだろう。
先ほどの2レシピは韓国料理を和風にアレンジするというものだったが、こちらはイタリアンに変えてしまうというアイデアで、新たな絶品料理が生み出されていた。このパスタに限った話ではないが、簡単な調理方法でかなり本格的な料理になることに驚かされる。それだけプルコギビーフ自体のポテンシャルが高いということだろう。
今回、コストコのプルコギビーフを使って3品のアレンジレシピを試したが、総じてプルコギビーフの旨みあってこその味付けになっていると感じた。また、プルコギビーフ単体で食べると甘みが全面に出ている印象があったが、アレンジレシピを用いて調理することで甘さが控えめになり、より大衆向けの味となったように思えた。
コストコのプルコギビーフは大容量のため、食べきる前に味に飽きてしまうこともありそうだが、今回のようなアレンジレシピを使えば、最後まで美味しく食べられるのではないだろうか。プルコギビーフの味が苦手な方はもちろん、途中で飽きてしまいそうな方も、今回紹介したアレンジレシピを試してみてほしい。
(文=加藤棗/A4studio)