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南清貴『すぐにできる、正しい食、間違った食』(9月27日)

“えさ”を食べさせられている現代人 必須栄養素約50種、1つでも欠けると生命の危険?

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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「今日のランチは何にしようか?」
「仕事が終わって仲間たちと呑みに行く店をどこにしようか?」

 このように「何を食べようか?」と考えるシーンでは、いくらでも選択肢があるかのように思われますが、頭に思い浮かぶのは本当に選択肢でしょうか? まわりくどい言い方になってしまいましたが、実は私たちが普段食べているものは、意外なほど画一的なのです。

 例えば、ある人が牛丼を食べようと思い、別の人はとんかつを食べようと思ったとします。そして別の人は鶏のから揚げを食べようと思ったとします。あたかもここには3つの選択肢があるようにみえますが、実はそうではありません。牛肉も豚肉も鶏肉も、トウモロコシで育てられた肉なのです。ですから、どれを選んでも形を変えたトウモロコシを食べているにすぎません。このように、自分たちが食べているものを少し俯瞰して見てみると、「選んでいるようで実は選べてはいない」ということがわかります。そしてこの事態は、私たち消費者の要求を反映したものではない、というところに大きな問題があります。

 では、誰の要求を反映しているのかというと、巨大なフードシステムを動かしているグローバル食品産業の要求です。牛も豚も鶏も、もともとはトウモロコシを常食していたわけではありません。人間の都合で、収穫しやすく管理しやすくコストも低いトウモロコシを主体とした飼料をつくり、それを牛や豚や鶏に食べさせているというだけです。動物にとっては食餌(えさ)ですが、その肉を食べている人間にとっては、調理されているから、あるいはきれいに盛り付けてあるからそれは食事だ、と言い切れるでしょうか? それとも食事とは呼ばず食餌と呼ぶべきなのでしょうか? 

●オプティマルフードピラミッド

 食餌と呼ぶべきだ、というご意見の人も少なくないはずですが、では私たちにとって食事とはなんでしょう?

 それは私たちが生きていくために必要な物質を体の外から内側に摂り込む行為のことです。生きていくために必要な物質は2つのグループに分けられています。1つが約50種類の必須栄養素というグループで、もう1つは約5000種類あるといわれる植物栄養素のグループです。この2つの異なる栄養素は車の両輪のようなもので、どちらが欠けても体はうまく機能しません。特に必須栄養素のうちの1つでも欠けると直接、生命の危機につながります。そして植物栄養素が不足すると、体が持つ本来の力を発揮することができなくなります。だから私たちは、常に過不足なく、満遍なくこの2つの栄養素を食事から摂取しなければならないのです。

 言い方を換えると、この2つの栄養素が十全に摂り込めないのであれば、それはどんなにうまく飾られ、盛り付けられていても、本来あるべき食事としての体を成していないということになります。理想的な食事とは、この2つの栄養素をきちんと摂り込めるものなのです。それを、わかりやすく図表にしたのが、筆者が考案した「オプティマルフードピラミッド」です。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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