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南清貴『すぐにできる、正しい食、間違った食』(9月27日)

“えさ”を食べさせられている現代人 必須栄養素約50種、1つでも欠けると生命の危険?

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 そのベースの部分が、穀物と豆類の食べあわせであることは前回連載でご説明しました。次に重要なのが必須栄養素のうちの、13種類のビタミンと16種類のミネラル、そして植物栄養素を摂り込むために積極的に野菜を食べるようにする、ということです。野菜は基本的に「葉菜・果菜」のグループと「根菜」のグループに分けて考えます。なおかつ、それぞれのグループを等量摂取するようにします。それは、それぞれに含まれている栄養素が違うからです。

 そして、葉菜・果菜と根菜を合わせて全食事量の40%を占めるようにするのが理想的なのです。このように最適(=オプティマル)な食生活を実践することは十分に可能なことです。現に、オプティマルフードピラミッドに沿った食べ方をしている人がたくさんいますが、なんの不自由も感じずに日々の食生活を送っています。筆者自身はストイックな生き方とは無縁なので、一切の肉、魚を食べるなとか、酵素を大量に摂るために食べものに熱を加えるななどという無理難題を押し付けることはありませんし、実際にこの食事の方法を実践して30年以上がたちます。

●何も考えずに自分が食べるものを選択してはいけない時代

「真っ当な食事をしよう」と提案すると、2つの反応が返ってきます。1つは、賛同して今からすぐにはじめる。もう1つの反応は、それでは食べるものがなくなってしまう、などと理由をつけてやらないという反応です。さて、あなたはどちら派でしょうか?

 筆者はこれまで様々な講演・セミナーを行ってきましたが、その中でおもしろい発見がありました。日本でも有数のコンサルティングファームに招かれ、その会社がコンサルティングを行っている中でも、優良な会社の経営者の方々が集まっての研修会で講演をさせていただいた時のことですが、皆さんたいへん熱心に私の話を聴いてくださり、質問も積極的にしてくださいました。その後の懇親会では、筆者が提唱する食事のスタイルについてネガティブな捉え方をしている経営者が非常に少なく、やってみようという意欲を持たれた方が大半だったことに気付きました。

 経営者の方々は、ご自分のお体がただ単にご自分だけのものではない、というように捉えていらっしゃいます。だから、ご自分の体の健康を維持・増進するためならできることは積極的に取り組むという姿勢でおられるのだな、と思いました。

 今現在経営者であるかどうかはともかく、社会または会社の中で責任ある立場にいる方は、ご自分の健康が食べたものによって支えられている、ということをあらためて考えてみる必要があるのではないでしょうか。そして、食事の重要性に気付いた方は、ご自分の上司の方々、部下の皆さんに、それを伝えていく義務があるのではないでしょうか。食事のあり方に関心を持つということは、何も考えずに自分が食べるものを選択してはいけない時代に生きる、私たちの生活の知恵だと思います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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