–なぜ化粧品には、多くの化学物質が配合されているのでしょうか?
菅原 理由は大きく分けて3つあります。まず、使い勝手を良くするためです。次に長持ちさせるため、そして安価に大量生産するためです。突き詰めれば、「肌の手入れや化粧を簡単に済ませたい」「取り扱いはラクなものがいい」「長持ちする製品がいい」といった消費者の要求と企業の利益が一致して、有害な化粧品が製造されてきたのです。
「体に害を与えるものを売っている」と怒るのは簡単ですが、その責任の一端は私たちにもあるのです。消費者が化粧品の真実を知り、有害な商品の購入を控えなければ、今後も害をなす化粧品は蔓延する一方でしょう。
●クレンジング剤は食器用洗剤と同じ
–具体的には、どのような害があるのでしょうか
菅原 もし「メイク落としに食器用洗剤を使ってください」と言われたら、どのように思うでしょうか。実は、クレンジング剤での洗顔は、それと同じことをやっているといえるのです。クレンジング剤の主な成分は食器用洗剤と同じ合成界面活性剤です。簡単に説明すると「水と油を混ぜ合わせるためにつくられた物質」です。食器についた油汚れは水だけでは落ちませんが、洗剤に含まれる合成界面活性剤の働きできれいに落とすことができます。
クレンジング剤も同様です。すべての合成界面活性剤は、たんぱく質を溶かす作用があります。洗浄力が弱かったとしても、お肌にダメージを与えているのです。皮膚が持っているバリア機能を破り、構造を壊して肌の深いところまで浸透します。皮膚は構造を壊されると水分が蒸発して乾燥します。
–保湿成分が含まれているので、乾燥を防げるのではないですか?
菅原 実は合成界面活性剤でお肌がボロボロになることを防ぐために、保湿成分を入れているだけなのです。合成界面活性剤は、体内に吸収されると肝障害や腎障害、がん、血液成分の減少、胎児の奇形を引き起こす危険性があります。また、下水へ流れた後も自然分解されにくく、河川、海、湖が汚染され、魚や微生物など生態系へも悪影響を与えると指摘されています。
–そんな恐ろしい合成界面活性剤が、なぜ使用されているのでしょうか
菅原 それは、メイクが簡単に落とせる、手軽に使えるといった利便性があるためです。裏を返せば、それは私たち消費者がクレンジング剤に便利さを求めたからでもあるのでしょう。
–「自然にもやさしい」という謳い文句の、弱酸性の洗顔フォームはどうでしょうか?
菅原 弱酸性であっても主成分は合成界面活性剤です。クレンジング剤と同様に皮膚の構造を破壊します。確かに健康な皮膚は弱酸性ですが、だからといって「弱酸性の洗顔フォームは良い」とはいえません。弱酸性に調整された合成界面活性剤が配合されている洗顔フォームはテレビCMでもよく見かけますし、多くの商品が出回っていますが、これらはすべて肌に悪影響を与えます。「アミノ酸系、植物由来でお肌にやさしい」という文言も要注意です。アミノ酸系、植物由来でも合成界面活性剤は皮膚の構造を壊します。私が推奨しているのは天然素材の石けんのみです。