パンケーキ専門店は東京都内だけで約450店もあるといわれており、その数は現在も増え続けている。さらにスイーツのメッカである東京の原宿や表参道の人気店ともなれば、平日でも1~2時間待ちというのが珍しくないという。
一体このムーヴメントはいつから、そして何がきっかけで起こったのだろうか。パンケーキ文化に詳しく、著書に『パンケーキ・ノート』(リトル・モア)があるライターで早稲田大学非常勤講師のトミヤマユキコ氏はこう分析する。
「ブームのきっかけは、『bills』、『Eggs’n Things』という有名店が相次いで日本に進出してきたことでしょう。先駆けとして『bills』が鎌倉・七里ヶ浜に1号店を2008年にオープンさせ、知る人ぞ知る存在に。さらに『Eggs’n Things』が10年に原宿でオープンして人気となりブームを決定づけました」
80年代にクレープブームの発祥の地ともなった原宿で話題を集めることで、若い女性にとってパンケーキが「ファッショナブルな存在」という位置づけになったというわけだ。
「さらに、パンケーキブームが始まった頃は、ちょうど『朝ヨガ』や『朝ラーメン』といった朝から家の外で有意義に過ごす『朝活』という言葉が使われ始めた時期。オープン当初の『bills』は、新しい朝食のスタイルを提案するというコンセプトが強く、朝活ブームがパンケーキブームを後押ししたという側面もあります。また、店内も本店のある国の雰囲気に沿ったつくりとなっているなど、お店によって世界観が違うのも、女の子たちがいろいろなお店に通う理由でしょう」(同)
確かに流行に敏感そうな女性ほど、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)でパンケーキ店に行ったことを写真付きで報告している印象。
「パンケーキ店は、“オシャレな街に来て、オシャレなお店に入って、オシャレなものを食べる私”というのを発信しやすいのです。さらにパンケーキは素人でも非常においしそうに撮れるフォトジェニックな食べ物。そういった意味でもパンケーキはSNSとの相性が抜群です」(同)