4月6日、ローソンが会員向けに、全国約9000店舗で利用できる無料無線LANのサービスを開始した。会員は、アプリをダウンロードして、ID、電話番号、誕生日を入力すれば、ローソンが提供するWi-Fiを無料で使うことが可能になる。
会員化して無料サービスを投下するのは、顧客の囲い込みとして昔からあるやり方である。ただ、それにネットが絡むと面倒くさい。閲覧履歴と購買履歴をヒモ付けされてムダな広告やレコメンドをされるのが、なんと言われようと嫌なのだ。私もかつて、うかつに大手イーコマースサイトで買い物をしたら、後から後から中身スカスカの宣伝メールが毎日大量に来るようになり、アフィリエイトをやっているサイトでは、レコメンドのフラッシュに類似の商品が表示されるようになった。以来、この大手イーコマースサイトでは、一切買い物をしていない。
ムダなメールをゴミ箱へ振り分ける設定をし、ブラウザのフラッシュの常時表示を切る作業をする時間だけでももったいない。そう思っていたので、下手に無料Wi-Fiなど使い出すと映画『マイノリティ・レポート』での描写のように、いちいちムダな宣伝や不必要なキャンペーンに付き合わさせられることになるだろうから、ローソンの会員カードは作っていたが、すでに利用もしていなかったことだし、無料Wi-Fiも使う気はさらさらなかった。
ところが、事態が妙な方向へ動き出した。ネット上では当初、閲覧履歴の紐付けや成り済ましなどへの不安が話題となっていたが、いつの間にか利用規約の記述があげつらわれることに。いつも冷静なつぶやきをする高木浩光さん(産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センター主任研究員)が、すっかりハッチャケてしまっているではないか。
「皆さーん。ローソンのPonta会員Anroidアプリを利用する人は、その規約で、他人に誕生日・電話番号を知らせる行為は禁止だそうですよー! しかもさらに、他人の誕生日・電話番号を入手することも禁止だって。相手がPonta会員でなくてもですよ!手段のいかんを問わずですよ!ヒャッハー」(HiromitsuTakagi 2012/04/08 12:47:39 on Twitter)
無料Wi-Fiを利用する際の個人認証情報だから、ということなのだろうが、これはあまりにマヌケな話だ。そりゃ、あげつらわれるに決まっている。
なにより、たかが無料Wi-Fiの利用ごときのために、電話番号と誕生日とを他人に教えるなとは、いち民間企業がユーザーの生活=プライバシーに立ち入り過ぎだろ。
そう思って知人のエンジニアらに聞いてみたが、返ってきた答えは異口同音だった。