SIMロック解除に6カ月制限が付けられた背景
昨年、原則義務化が決定したことから大きな注目を集めるようになった、携帯電話・スマートフォンなどのSIMロック解除。総務省の「SIMロック解除に関するガイドライン」が5月1日に施行されたことで、ついに義務化された。
義務化の開始に伴い、キャリア各社はSIMロック解除に関する条件について公表している。各キャリアともに細かな違いは見られるものの、おおむね共通しているのは、インターネットで手続きする場合は無料だが、店頭で手続きを行う場合は有料になること。そしてもう1つは、解除できるのは発売後6カ月が経過した端末のみであることだ。
これまで一部機種を除いてSIMロック解除に応じてきたNTTドコモの場合、従来は有料で店頭のみの取り扱いだったが、日数制限は設けられていなかった。だが新しい基準では日数制限が設けられたため、ユーザーから不満の声も少なからず聞かれるようだ。
キャリアが6カ月の制限を設けたのは、不正転売防止の狙いが大きいようだ。日本のキャリアはSIMロックがかかっていることを前提に、販売奨励金によって端末を割り引き、購入しやすくする販売手法をとっている。そうした販売手法の穴を突く形で、海外などへの不正転売を目的とした人が安価に端末を購入して転売し、月額料金を踏み倒してしまうケースが最近増えているという。SIMロック解除が義務化されれば、そうした不正転売が一層加速する可能性があることから、こうした施策を取るに至ったようだ。
実際、ソフトバンクモバイル社長の宮内謙氏は、5月19日の囲み取材で「一括0円などの販売手法は、優良顧客にとっては嬉しいこと。でもそうじゃない人がいっぱい買っていって、箱も開けずに海外に転売し、お金を儲けている」と、6カ月制限を設けた背景にある問題行為について答えている。
先のガイドラインにも「SIMロック解除により、盗難等不正な手段による端末入手に対する誘因が高まる可能性にかんがみ、事業者は、必要に応じて事業者間の連携等適切な措置を講じることが適当である」と記述されており、キャリアがSIMロック解除に一定の時期制限を設けることは認めている。