ポジティブ視点の考察で企業活動を応援、企業とともに歩む「共創型メディア」/Business Journal
三上洋「IT漂流時代」
時代の寵児Ustream、ひっそり撤退…なぜ視聴者&配信側に見捨てられた?甘さがアダ
まだAsiaの担当者がUstream, Inc.とすり合わせを行っている段階であり、2月以降の詳細は不明だ。ひとつだけ言えることは、日本で持っていたチャンネルは、移行後もそのまま使えるだろうということだ。
ただしUstream Asiaが独自に運営していた日本語のトップページは、なくなる可能性が高い。本社では運営できない内容だからだ。また日本独自の有料課金サービスもかたちが変わるだろう。
今後のUstreamをめぐる状況だが、企業やコンテンツ制作者は「Ustream Asia撤退」のニュースを聞いて、徐々に離れていきそうだ。Ustream自体は残るものの、英語中心になる上に、撤退という悪いニュースによってブランド力が落ちてしまうためだ。ニコ動、YouTube Live、TwitCastingなどほかのライブメディアに移るところが多いだろう。そうなるとUstream自体が閑散としてしまい、さらに配信者・視聴者が減ることになってしまいそうだ。
偶然にもNTTドコモ「NOTTV」が500億円の損失で撤退するニュースとぶつかったため、ネットでの動画ビジネスの難しさが浮き彫りとなった。しかし、ネットでの動画生放送は、スマートフォン中心に再び伸びようとしている。国内でのスマホ生放送No.1のTwitCastingに加えて、DeNA(SHOWROOM)が積極的に取り組んでいるほか、ソニー(キャスタウン)も映像SNSに新たに参入する。また、アメリカではスマートフォン向けの動画SNS・Flipgramが流行するなど、スマートフォンでの動画ビジネスは大きく花開こうとしている。
今後のネット動画ビジネスは、スマートフォンを中心に展開することは間違いないだろう。Ustreamがなぜ失敗したのかに学んで、日本のスマホ動画サービスの成功を願いたいものだ。
(文=三上洋/ITジャーナリスト)
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