また、技術的に取り締まりが難しいという事情もある。仕事で使うなどというのはダメだろうが、家庭での小規模な利用については、あくまでもユーザーの倫理観次第だということになるだろう。堂々と使っていていいというものではないが、見つかれば即座に賠償金がどうこうというような話ではなさそうだ。
●もしかしたら宣伝?という声も
それにしても、Adobeの行動は不自然だ。「使うなよ?」と言いながら引き続き丸裸で置いておくという、ジョークのような状況になっている。そもそも、本気で正規ユーザーだけに配布したいならば、正規シリアルコードを入力したユーザーのみ、ダウンロードページにアクセスできるなどの措置が考えられるはずだ。
あまりにも不自然な状況に「実は、これは宣伝の一環ではないか?」「他の類似アプリケーションをつぶす気なのではないか?」という人もいるが、もともとの思惑は別として、確かに宣伝にはなっていそうだ。今回の騒ぎで初めてAdobe CSシリーズに触れたという人もいるだろう。
ただ、もし少し触れてみて気に入ったとしても、使い続けることはあまりお勧めしない。AdobeのCSシリーズはバージョンごとにいろいろな癖があるが、CS2もかなり癖のあったバージョンで、きちんとした印刷用データなどをつくるにはコツがある。しかし、そんなことを紹介してくれるサイトや本も今ではあまりないし、何より最新バージョンとは機能にもだいぶ差がある。
お高いだけにプロ向きな機能が満載されたCSシリーズの各種アプリケーションは、まったくの素人がなんとなく触って使いこなせるという代物ではない。
一方、わりと簡単に感覚的に使える部分が多いPhotoshopに関しては、廉価版のAdobe Photoshop Elementsが用意されている。こちらは最新版の定価が1万5540円と比較的安価に入手できる。
違反かも? 叱られるかも? とドキドキしながら古いものを使うより、こちらを使ったほうが賢明だろう。
(文=エースラッシュ)