消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
それでもなお、今回のドコモのように、キャリアが一層の高速化に力を入れているのはなぜなのか。
それは、「都市部のトラフィック対策」に尽きるだろう。人口が集中している首都圏、なかでも山手線の主要駅などは、ラッシュ時に携帯電話の利用者が集中し、通信が混雑することから、快適に利用できるようにするための取り組みが今でも求められているのである。
NTTドコモの3.5GHz帯対応基地局も、当初設置されるのは混雑が激しい山手線の一部駅のみとなる
そして混雑解消の鍵となっているのが、周波数帯の追加とCAだ。周波数帯を増やすことは、新しい道路を敷設するのと同じであるため混雑緩和には効果的であるし、CAは単に通信速度を向上させるだけでなく、複数の周波数帯を組み合わせることで、それぞれの周波数帯の空きを有効に活用できるメリットも持ち合わせている。つまり、キャリアは都市部の混雑を緩和するために周波数帯域の追加やCAの拡張を進めているのであって、高速化自体はかつてほど重視しているわけではないのだ。
LTEネットワークの全国整備が落ち着いたことから、各キャリアのネットワーク投資はかつてと比べ減少傾向にある。実際ソフトバンクは、国内ネットワークの投資が一巡したとし、国内事業はフリーキャッシュフローを創出する段階に入ったとしている。しかしながらネットワークはキャリアの根幹をなすものであり、しかも水ものであるため変化も激しい。変化に応じた改善を進めなければユーザーの不満を高め、顧客離れを起こしてしまうだけに、キャリアのネットワーク改善に向けた取り組みは今後も強く求められるといえそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.10.11 17:30
2024.09.13 19:15
2024.09.12 05:55
2024.09.10 17:45