インターネット詐欺による金銭被害や個人情報の盗難被害の防止対策は、ネット社会において個人や企業の大きな関心事だろう。そうしたセキュリティ対策ソフトを販売している企業のひとつに、ソフトバンクグループのBBソフトサービス(東京・港区)がある。同社のまとめた「インターネット詐欺リポート」をみると、ネット詐欺の検知情報から最近の傾向が読み取れる。
同社がこのほどまとめた今年上半期(2016年1月~6月)の検知情報によると、第1四半期(1~3月)と比べ第2四半期(4~6月)は平均値が81万9903件から約2.2倍の178万6169件に増加した。5月の大型連休時にアダルトサイトに接触して、詐欺サイトに誘導されたケースが多かったことが最大の原因だという。さらに犯罪者が海外のアダルトサイトを介して詐欺サイトへの誘導を図ったことも原因とされている。
最近のネット詐欺は、季節ごとにその趣が変わる「歳時記」のような特徴を持っている。今年4月には、NHKの大河ドラマ『真田丸』に便乗した詐欺サイトを検知した。昨年からこいのぼりなど、こどもの日をターゲットにした詐欺サイトが出現していたというが、今年はさらに手が込んでいて、子供が着用できる五月人形のよろいかぶとなどが、偽販売サイトの商品として現れたという。「真田幸村」など有名な戦国武将をかたるものもあり、番組人気に便乗した手口が目立つという。
こうした詐欺サイトでは、商品を購入しても実際には商品が届かないといった被害に遭う危険性が大きい。さらに、入力したメールアドレスやパスワード、住所、氏名、クレジットカード番号などの個人情報が不正に取得されて闇市場で売買されたり、いわゆる「なりすまし」による不正な商品購入などが起きたりする危険もある。
同リポートによると、2015年の1年間では、フィッシング(なりすまし)詐欺が占める割合が多くなったという。14年1~3月には2.87%だったのが、15年10~12月は29.88%と10倍に増えている。手口の多くは銀行からの電子メールになりすまし、ネットバンキングのID・パスワードなどの個人情報を不正に取得するほか、有名ブランドを模倣した偽販売サイトやオンラインゲームでID・パスワードを盗むと手口まであるというから、うっかりしていると非常に危険だ。
物のサイトを完全にコピーしたり、類似したデザインでつくることによってユーザーを騙そうとしたりする手口が目立っており、誰でも騙されてしまう危険がある。こうした詐欺は今後も増加することが予想されるため、ネット利用者は今後も十分注意する必要がありそうだ。以下、同リポートをもとに、ネット通販で注意すべき点を挙げてみた。