●「MVNO」は他社回線を借りた通信サービス
「MVNO」は「Mobile Virtual Network Operator」の略だ。そのまま日本語に訳すと「仮想移動体通信事業者」となる。要するに自社でモバイル通信のネットワーク設備などを持っていないのに、通信サービスを提供している事業者ということだ。
具体的には、日本の場合、NTTドコモやソフトバンクモバイルといった大手通信キャリアの回線を一部買い上げて、オリジナルのパッケージをつくって販売するかたちになる。
日本で身近なのは、ソフトバンクモバイルの回線を利用してオリジナルのスマートフォン等を販売している「ディズニーモバイル」と、ドコモの回線を利用して手持ちのスマートフォンやタブレットに、特別なSIMカード(通信用のカード)を挿入して使うことでお得になるサービスを提供している、日本通信の「b-mobile」だろう。
このほかにも、イオンで販売している「イオンSIM」やビックカメラの「BIC LTE SERVICE」など、意外と身近なところにMVNOサービスがある。
●お得なSIMサービスを探す
スマートフォンをお得に使いたいならば、「b-mobile」タイプのサービスの中で自分に合うものを探そう。どういう時に利用できるのかといえば、ずばりフィーチャーフォンとの2台持ちをしている場合に役立つ。
たとえばドコモの通常のLTEサービスは、毎月使い続けるタイプの契約しかない。ドコモのスマートフォンを購入して、毎月料金を払って初めて使えるサービスだ。だから、普段はあまりスマートフォンを必要としていないけれど旅行の時だけは使いたい、というような使い方は難しい。しかしMVNOならこれができる。
つまり、中古等で手頃なスマートフォンの端末だけを入手して、回線契約を行わないまま持っておき、必要な時だけMVNOの数日〜数カ月単位で利用できるSIMカードを利用するのだ。また、LTE回線を使うモバイルルータにMVNOのSIMを使うこともできる。
LTEの高速通信などを必要としていない人にも有効なサービスがある。「イオンSIM」や、家電量販店で販売されているようなものにこれが多い。上限速度をぐっと抑えるかわり、月額料金もかなり抑えてくれるというものだ。メール主体でたまに検索するだけ、というような使い方で何千円も払うのはもったいないと思っているならば、これを利用してみてもよいだろう。
●MVNOを使うなら、ドコモ端末が一番?
先に紹介した「b-mobile」や、イオン系列店で入手できる「イオンSIM」、家電量販店で購入できるもの、プロバイダが提供しているサービスなどの大半が、ドコモ回線を利用している。そのため、ドコモのスマートフォンならロック解除不要で、すぐにMVNOサービスが利用可能だ。
ソフトバンクモバイルの場合は、SIMロックを有料で解除すればたいてい利用できる。auのスマートフォンは日本国内で使っている通信方式が異なるので、海外対応などでドコモと同じ通信方式も利用できるようになっている機種ならば、SIMロックを解除すれば利用できることもあるという状態だ。いずれも公式に動作確認がとれている場合は少ないので、初心者にはお勧めしない。
以前使っていたスマートフォンをそのまま使う、家族が使わなくなったスマートフォンを使う、といった感じで手持ち端末を使いたいならば、対応しているサービスをじっくりと探すしかないが、もしMVNOでお得な使い方をするために何か端末を購入しようと思うのならば、ドコモ端末にしておくとサービスの選択肢も広がる。
(文=エースラッシュ)