ソニー・インタラクティブエンタテインメントのプレイステーション4(PS4)、任天堂スイッチ用ゲームソフト『天穂のサクナヒメ』(製作えーでるわいす、販売マーベラス)がインターネット上で話題を集めている。同ゲームは12日に発売されたのだが、本格的な「日本古来の米づくり」が売りだ。その難易度は高く、プレイヤーらは農林水産省公式サイトの米づくり公式Q&Aコーナーを参考にしながら進めているようだ。また、全国農業協同組合連合会(JA全農)の公式Twitterアカウントも一連の反響に反応するなど、ひそかに“稲作”ブームが進行している。
同ゲーム公式サイトは、次のように作品を紹介している。
「美麗グラフィックで描かれる『天穂のサクナヒメ』は『ヒノエ島』を舞台に、島を支配する鬼と闘う爽快なコンボアクションと、日本古来の米づくりを深く再現したシミュレーション要素が融合したユニークな和風アクションRPGです」
農具を使って島の鬼を退治しつつ、稲作、農具づくりを行うという構成という。作中の稲作パートは「田植え、稲刈り、脱穀など本格的な8つの工程が必要とのことで、ここで本格的な農業の知識が必要になってくるようだ。収穫した良質なコメを食べることで、主人公のサクナのステータスが一時的に上昇するので、稲作がゲーム攻略の成否を握るようだ。
JA全農はプレイヤーに米作りマニュアルを推薦
ネット上では、同ゲームのプレイヤーを中心に「田植えの後に田に水をいれていいのか」「どのタイミングで収穫すればいいのか」など、ゲームのこととは思えない質問が多くなされている。各攻略サイトなどは、農水省公式サイトの稲作Q&Aを引用しているほか、JA全農広報部はプレイヤーに向けてTwitterで発信した。
あの…某お米づくりゲームをなさっている皆さん…よかったら弊会の解説冊子「田んぼを作って稲づくりを体験しよう」を参考になさってください…!私もまだそのゲームをできていないのでどこまでお役に立つかはわからないのですが…https://t.co/yP6ERkPsxq pic.twitter.com/ezeLwMx46M
— 全農広報部【公式】日本の食を味わう (@zennoh_food) November 12, 2020
「あの…某お米づくりゲームをなさっている皆さん…よかったら弊会の解説冊子『田んぼを作って稲づくりを体験しよう』を参考になさってください…!私もまだそのゲームをできていないのでどこまでお役に立つかはわからないのですが…」
「あつ森」「鬼滅」の大ヒットで注目を集めた?
ゲーム情報サイト関係者は次のように話す。
「このゲームは、今年春に大ヒットした任天堂の『あつまれどうぶつの森』(通称:あつ森)の『島づくり』と、戦闘要素のある素材収集系RPGを両方楽しめるゲームということで、一部のコアユーザーから注目を集めていました。あつ森は平和な世界観ではあるのですが、どうしても、イベントなどの間隔が長く、ゲーム内の変化に乏しいこともあり、一部ユーザーの間では『もう飽きた』『やることが無くなった』との声が上がっていました。
しかも、発売が同じ鬼退治ものの映画『鬼滅の刃』が爆発的なヒットをしているタイミングというのも、同ゲームに注目が集まっている要因ではないかと思います。
まだ深くプレイはできていませんが、致命的なバグがなければそれなりに人気コンテンツになるかもしれません。ただ映画などと違い、ゲームコンテンツはある程度やりこんでみないと名作か駄作かわからないことが多いです。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、今年リリースされたゲームコンテンツは、デバッグが不十分な状態で販売され、プレイヤーたちに酷評されるというケースも目立ちます。注意深く検証したいです」
なんにしても、このゲームを通じて衰退中の日本農業への関心が高まればいいのだが。
(文=編集部)