そして、縦長の画面比率の採用は、ディスプレイサイズを大きくしながらも本体の幅を抑えて、片手でも持ちやすいというメリットももたらしている。実際、「S8」は「S7 edge」より0.3インチ大きい5.8インチのディスプレイサイズながら、幅は68.1mmと4mm狭くなっている。また、大画面モデルの「S8+」も、ディスプレイサイズが6.2インチ、幅73mmと、画面サイズのわりには持ちやすくなっていることがわかる。
ホームボタンに大きな変化、生体認証は2種類に
だが、ディスプレイのベゼル部分を大幅に削減した分、従来機種と比べて変化したポイントも、いくつかある。なかでも大きな変化は、従来はハードキーだったホームボタンがベゼル幅を削るためにソフトキーに変更されたことだ。
ホームボタンをソフトキー化するAndroidスマホが増えるなか、Galaxyシリーズは頑なにハードキーのホームボタンを採用し続けてきた。しかも、サムスンはホームボタンに指紋認証センサーも搭載してきただけに、この変化は従来のGalaxyユーザーの操作性を変えてしまうことにもなる、大きな変更といえよう。
サムスン側も、そうしたユーザーの懸念に対して最大限の配慮はしているようだ。可能な限り従来と変わらない使い勝手を実現するため、「S8」「S8+」には、ディスプレイ上のホームボタンの位置に感圧センサーを搭載。スリープ時、その場所を押し込むことで、従来のホームボタンと同じようにスリープを解除できるようになっている。
しかしながら、指紋認証の仕組みをディスプレイ上に搭載するのは難しかったようで、指紋認証センサーは背面のカメラ横という、やや使いにくい位置に移動されている。この点は残念だといえるが、「S8」「S8+」には新たに目の虹彩を用いた生体認証システムも搭載されているため、スリープ解除後にスマホを見るだけでもロック解除が可能だ。複数の生体認証のなかからユーザーの好みのものを用いてほしい、というのがサムスン側のメッセージといえそうだ。
ただし、ホームボタンがソフトキーになったことでメリットも生まれている。Galaxyシリーズは、ほかのAndroidスマホと比べて、バックキーと履歴表示キーの配置が逆になっており、これが“癖”としてユーザーに違和感を与えている部分もあった。だが、「S8」「S8+」では、それらのキーもソフトキーに変更されたことから、双方のキーの位置を入れ替えることで一般的なAndroidスマホと同じ配置にできるようになったのだ。