ネックは高価格?VR体験スポットも
ディスプレイに大きな変化があった「S8」「S8+」だが、一方であまり変わっていないのがカメラである。特に、背面のメインカメラはデュアルピクセルセンサーを採用した1200万画素と、ハード部分だけを見れば「S7 edge」とほぼ変わっていない。変更点は、シャッターを押したときに3枚の写真を連続撮影してブレの少ない写真を合成するマルチフレーム技術など、ソフトウェア面の変化のみにとどまっている。
「S7 edge」もカメラ性能には定評があったことから、「S8」「S8+」のカメラも高い水準の撮影ができることは確かであろう。だが、最近では、2つのカメラを搭載してボケ味のある写真を撮影しやすくするなど、カメラ機能に一層の工夫を凝らした機種が増えているだけに、カメラにももう少し工夫がほしかったところではある。
また、「S8」「S8+」の主要機能であるアシスタント機能「Bixby」も、カメラで写したモノや場所などを探したり、時間や場所に応じて適切な情報を勧めてくれたりする機能などは用意されているものの、今もっとも注目されている「音声アシスタント機能」の日本での提供は決まっていない。これは、端末に話しかけることでさまざまな操作ができるという機能で、この点もやや残念なところだ。
とはいうものの、ディスプレイが与えるインパクトの大きさ、そしてクアルコムの最新チップセット「Snapdragon 835」を搭載するなど、フラッグシップモデルならではの高い性能を備えていることもあって、「S8」「S8+」は「Note7」の影響を感じさせないほど、前評判も高かった。それだけに、両機種は「S7 edge」以上に人気を獲得する可能性がありそうだが、気になるのは価格である。
フラッグシップモデルだけに価格が高くなりがちであることは確かだが、「ドコモオンラインショップ」における両機種の価格(いずれも税込み)を見ると、「S8」の一括価格は9万3960円、「S8+」に至っては11万8584円。機種変更時の実質負担金も、それぞれ5万5080円、6万4800円からとなっており、割高な印象は否めない。
日本において、GalaxyシリーズはiPhoneほど高いブランド力を持っていないだけに、この点はユーザーが端末を選ぶ上での大きなハードルとなりそうだ。
サムスンは、両機種を用いたVR(仮想現実)を体験できるスポット「Galaxy Studio」を展開するなどして、積極的なPRを行っている。魅力的な端末であることは確かなだけに、いかにその魅力を知ってもらい、価格面のハードルを乗り越えられるか。それが、両機種のヒットにつながるポイントといえそうだ。
(文=佐野正弘/ITライター)