女子高校生2人組の YouTuber「ぺぷしる」のあきえが、渋谷の駅前で「フリーおっぱい」と書いた紙を掲げ、通りすがりの人たちに自身の胸を揉ませる動画をアップしたことが、大きな話題になっている。
その元動画は、「YouTube」の規約違反として現在は削除されているが、インターネット上では拡散が続いている。
公衆の面前で胸を揉ませる行為が、公然わいせつ罪に当たるのではないかとの指摘や、実際に胸を揉んだ大人たちが「児童ポルノ」や「東京都青少年の健全な育成に関する条例(育成条例)」に違反するのはないかと疑問視する向きも現れている。
そこで、衆人環視の中で女性が胸を揉ませる行為は違法ではないのか、弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。
公然わいせつ罪に該当、でも逮捕はされない?
まず、法律上、何を「わいせつ」というかですが、判例上「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的同義に反するもの」とされています。
何を言っているかよくわからないかもしれませんが、要するに「それ(ある人の行為や、映像など)を見たくもない人に対し、そのシチュエーションでは必要ないのに意味もなく性的な感情を持たせて、さらに見たくもない人が恥ずかしがるようなもの」を「わいせつ」としています。
それを「公然」と行えば、「公然わいせつ罪(6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金など)」となります。
女性の上半身を外で見せたり、インターネットにアップすることは、「裸」であれば、公然わいせつになります。なお、男性の上半身は、「裸」であっても原則として公然わいせつにならないと判断されています。
今回は「裸」ではないので、「即、公然わいせつ」になるわけではありません。
次に、「女性の胸を揉ませる」という点ですが、この「胸を揉む」という行為からは、やはり性的な行為を感じると思います。性的な行為以外で「女性の胸を揉む」というシーンやシチュエーションが思い浮かばないからです。
最後に、「女性の胸を揉む」シーンについて、「見たくもない人が恥ずかしがる」かどうかですが、やはり恥ずかしがるでしょう。
こうしてみてみると、今回の「外で他人に胸を揉ませ、その映像をインターネットにアップする」行為は、法律上は「公然わいせつ罪」に該当するでしょう。
もっとも、逮捕されるか起訴されるかどうかについては、捜査機関による「この人物を懲らしめるべきかどうか」という判断によるので、わかりません。当職の経験では、このレベルなら逮捕も起訴もないと考えられます。
また、育成条例では「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない」と規定していますが、「衣服の上から胸を揉む」行為は、「みだらな性交」「みだらな性交類似行為」には当たらないでしょう。性交類似とは、「手淫、口淫」と解釈されています。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)