もちろん、少子高齢化などの問題を抱えている日本にとって、作業の一部をロボットに任せようとする方向性はよいと思います。ただ、残念ながら今はまだ技術が追いついていない場合が多いので、そこを取り違えて過度な期待を寄せると、かえって失望することにつながりかねません」(小林氏)
日本では経済産業省がロボット開発を推進しており、労働における人手不足の解消や生産性の向上を謳っているが、ロボットが完全に人手不足をまかなえる未来はまだ先のようだ。そうは言っても、今後どのように技術が発展していくかは、おおよそ予測がつくと小林氏はいう。
「この先の10年ということであれば、2020年までとそれ以降とで区切ることができます。日本は20年に東京オリンピックを控えていますので、今はそこに向かっていろいろなロボットの開発や普及、導入を進めている段階です。
たとえば20年までには、ロボットの自立移動や、センサーによって外界を認識する能力は今よりも高度化するでしょう。また、これまでは定形の硬いものしか掴めなかったロボットハンドが、たとえば詰め替え用シャンプーのパッケージのような不定形の柔らかいものも掴めるようになる、といったことも想定されます。
そして20年以降は、アマゾンやグーグルが提供しているようなAIアシスタントが、人間とより上手に話せるようになるかもしれません。現在のAIアシスタントは、こちらがひとつ質問すればひとつの答えが返ってくる限定的な“対話”ですが、もっと自然な“会話”のやりとりが可能になるということです。
また、AIの思考・類推能力の向上や、ロボット同士の協調動作がスムーズになるといったことが30年頃までの流れとなり、ロボット開発の過程で実現し始めた技術が、だんだん家電製品などにも浸透していくだろうと思います」(同)
ロボット技術に風穴を開けるのは犬型ロボット?
冒頭で紹介したサマンサタバサのアンドロイド社員は、自身のTwitterで「私は、アンドロイドと人間で共に作る社会が来ると信じています」とのメッセージを発している。
ロボットの社会進出が加速していけば、次第に人間の仕事を奪っていくのではとマイナスの印象を持つ方もいるだろうが、果たしてロボットと人間はいかにして共存するべきなのか。