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今年世界最大の上場、中国シャオミの「得体の知れない」経営…勝負挑める日本企業なし

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 当初、シャオミは1年に1台程度の割合で新製品を開発した。つまり、単一のモデルを大量生産することで規模の経済効果を活かし、製品の単価引き下げを実現した。その分、経営資源を有効に活用し、スマートフォンの機能向上を図ることが可能になる。複数のモデルを開発する場合、こうはいかないことが多い。販売チャネルも、オンラインでの販売が重視された。これが消費者から支持され、同社は急成長を遂げた。

 中国の企業は、成功例の模倣がうまい。シャオミの成功は、低価格スマホメーカーとして知られるオッポ(OPPO)やビーボ(VIVO)に模倣された。2015年頃から、この2社がシャオミからシェアを奪い、新興国を中心に販売台数を伸ばして急成長した。競合他社の台頭を受けてシャオミの業績は悪化した。一時、「シャオミは経営の危機に直面している」と、悲観的な見方を示す金融市場の専門家も少なくはなかった。

 この状況のなかでシャオミは、従来の発想を転換した。価格を抑えつつ、1年に1台程度ではなく、複数の高機能モデルを次々に発表し始めた。ITの専門家らの間では、カメラやGPSの性能の点でシャオミの最新モデルのほうがiPhoneXよりも優れているとの見方があるほどだ。この戦略の転換が功を奏し、同社の業績は回復している。

シャオミが狙う自社の市場拡大

 IPOのためにシャオミが公表した資料を見ると、“スマートフォンメーカーとしての成長”というように、特定の事業にこだわる考えを見いだすことはできない。

 資料では、同社の事業領域が4つに分けられている(スマートフォン、IoTとライススタイル、広告やオンラインゲームなどのネット関連サービス、その他)。2017年末の売上総利益(粗利益)は151.5億元(約2500億円)。うち約46%がスマートフォン事業で獲得されている。スマートフォンに次いで粗利益が大きいのが、ネットサービス(特に広告)だ。粗利益率でいえば、広告関連サービスの利益率は80%を超える。このデータを見ると、シャオミがスマートフォンメーカーであるという認識は、実態を正しく表していない。

 雷軍CEOが目指すのは、シャオミを中心とする経済圏の拡大だ。端的にいえば、米国のアマゾンのように、自社のプラットフォーム上で生活にかかわるあらゆるモノやサービスをつなげ、提供することが目指されている。2016年にはネット銀行であるXW銀行のビジネスをスタートし、フィンテック事業の強化も進められている。シャオミはマイクロソフトとも提携し、クラウドコンピューティングサービスの強化も重視している。

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