PC周辺機器などを製造するメーカー「サンワサプライ」は今年4月、iPadやAndroidスマホでSDメモリーカード、USBメモリーなどが読み書きでき、USBポートも搭載されたType-C接続のカードリーダー「ADR-3TCSDUGY」を発売した。
このニュースはTwitter上でも、
「chromebookかpixelで使おうかな」
「これでスマホ自体の充電も出来たら本格的に役立ちそうだけど、どうなんだろう?」
「以前Androidスマホの画面割れたとき、マウス繋いで凌いでたから、これ持ってたら便利かも」
などと話題を呼んでいた。そこで、今回は「ADR-3TCSDUGY」を実際に購入し、その使用感をレビューしていこう。
家電量販店で購入可能
現在、ヨドバシカメラやビックカメラ、ケーズデンキといった大手家電量販店の公式オンラインショップなどから購入できるが、今回はサンワサプライ直営の通販サイト「サンワダイレクト」から購入することに。
標準価格は3740円(税込、以下同)で、購入時は2730円に値下げされていた。届いた現物は想像していたよりも小さく、薄い。公式サイトで確認してみると、サイズが縦31mm×横53mm×高さ8mmで、重さは約18gとのことだ。
セット内容は本体と取扱説明書のみ。本体はダークグレーっぽい色で、素材はアルミ筐体とのことなのでスタイリッシュ。USB Type-C対応の接続端子の反対側にはSD、microSD、USB Type-Aの差込口がある。
PC に使うなら、“マルチなアダプタ”として普通に便利!
ではここからは、実際に使っていこう。
公式サイトによると対応OSはWindows10・8.1・8・7、macOS 10.12〜10.15、Mac OS X 10.10〜10.11、Android 6.0〜、iPad OS 13・14。対応機種はWindows搭載PC、Apple Macシリーズ、Android搭載スマートフォン、Android搭載タブレット、iPad とのこと。
まずは、Macシリーズに使ってみることに。今回使ったのは2017年製のMacbook proで、OSは10.13.6。USB Type-Cのポートが2つ搭載されているモデルだ。難なく接続することができ、USBポートからマウスやマイクロUSBケーブルを挿し込んで使用することができた。また、マイクロSDやSDカードも問題なく読みとることができたので、PCに使うならば、これひとつでデータの読み書きやUSBケーブルの変換ができるアダプタとして便利に使えるだろう。
しかし、PCでそのようなことができても、なんら驚くことはない。すでにその機能を持ち合わせた商品は世の中に溢れているからだ。この商品のセールスポイントはなんといっても“Androidスマホにも使える”ということ。ということで続いてはいよいよ、Androidスマホで試していこう。
確かにスマホでマウスを使えるが…
まず使用したAndroidスマホはOPPOの「Reno A」。OSはAndroid9なので、同商品の対応範囲内だ。まず、Reno Aを充電する際に使う、USB Type-Cのポートに挿し込む。そして、それを介して、メモリーカードを読み込ませようと、16GBのmicroSDHCのメモリーカードを挿し込んでみた。
しかし、反応はない。
「ADR-3TCSDUGY」の公式商品ページで対応メディアを確認すると、確かに「32GBまでのmicroSDHCカードclass10」との記載があるのだが……。同じく、公式商品ページに対応メディアとして記載があった「32GBまでのSDHCメモリーカード(UHS-I・II)」も反応がなかった。
Reno Aには「ADR-3TCSDUGY」、またはそこに挿したアイテムに対応する仕様になっていなかったのだろうか。ただ、Reno Aというモデル全体が非対応というわけではなく、使用したReno Aの個体にたまたま不具合が発生していた可能性もあるだろう。
次に試したのはHUAWEIの「P30 lite」。こちらもReno Aと同じく、OSはAndroid9だ。同じようにUSB Type-Cのポートに「ADR-3TCSDUGY」を挿し込み、さらに、16GBのmicroSDHCのメモリーカードを挿した。すると、こちらでは確かにメモリーカードを認識。データの読み書きも問題なく行えた。
これによって、写真データやMP3の音源などをAndroidスマホに送信することができるだろう。ただ、すでにデータをクラウド上で管理しているという方には、それほど便利な機能ではないのかもしれない。
続いて、ネット上であがっていた、“マウスも使えるのだろうか?”という疑問について言及しよう。結論から言うと、P30 liteではマウスを認識し、PCと同じように使うことができた。
しかし、スマホの場合は画面が小さいため、カーソルのコントロールが非常に難しい。また、操作したい範囲が狭いので、わざわざマウスを使うよりも指で操作したほうが圧倒的に早く感じる。そのため、Androidスマホをマウスで操作するメリットは、あまりないように感じられた。しいていえば、スマホの画面が割れて指操作ができなくなったとき、マウスで操作できればギリギリの状態で生き延びられる……ということくらいか。
スマホで試した結果、Reno Aでは使用できず、P30 liteでは使用できたわけだが、どちらもOSはAndroid9のため、前述した通りReno Aは使用した個体に不具合があった可能性もあるだろう。
総評すると、今はもうクラウドでデータが管理できてしまう以上、「ADR-3TCSDUGY」をAndroidスマホで使って便利だと感じるのは、過去のデータを掘り起こしたいときくらいだろう。しかし、Androidスマホにマウスを接続できるという点では、かなりユニークな商品ではある。マニアにはウケるかもしれない。
(取材・文=福永全体/A4studio)